大樹航空宇宙基地構想

HISTORY 大樹町の歩み

「宇宙のまち」大樹町の歩み

 大樹町が宇宙産業誘致など「宇宙のまちづくり」を始めたのが1985年。近年は注目度が急上昇し、「宇宙のまち・大樹」は全国区になりつつある。町を挙げて夢を追い掛け続けてきた歴史を、年表で振り返る。
 大樹が宇宙航空研究開発機構(JAXA)の研究施設がある「銀河連邦」に加盟した2010年以降、宇宙への道は一気に加速した。12年にIHIエアロスペース(東京都)がデータ収集用カプセル「i-Ball」で大気圏再突入時の画像のデータ取得に成功。受信拠点は町多目的航空公園などで大樹と宇宙がつながった瞬間だった。

小惑星Taiki

 13年にはJAXAが大気球実験で高度世界記録を更新。太陽系の小惑星に「Taiki」の名が付き、商業目的初の民間ロケットの打ち上げも成功した。14年には“オール北海道”で大樹での宇宙港造成を目指す「北海道スペースポート研究会」が設立。
 政府の宇宙政策担当閣僚(当時)が初来町し、自民党内で大樹がロケット新射場建設候補地にも浮上した。航空宇宙分野における大樹の存在感と注目度は高まっている。

3人“宇宙町長”

 宇宙に向けた大樹の歩みは85年に始まった。3人の“宇宙町長”(野口武雄、福原勉、伏見悦夫各氏)を中心に、着実に一歩ずつ宇宙に近づいてきた。
 町史などによると、町は同年春、道を通じて北海道東北開発公庫(現日本政策投資銀行)が掲げた「航空宇宙産業基地構想」の情報をキャッチ。太平洋に面した平たんで広大な土地など、有利な立地条件をアピール材料に、誘致運動を展開し始めた。
 92年に文部省宇宙科学研究所(当時)がヘリコプターで行った実験を皮切りに、ロケット、日本版無人スペースシャトル、ジェットエンジン、大気球など数多くの航空・宇宙関連の実験が行われてきた。
 2001年には高度20キロに飛行船を滞空させて高速通信・放送サービスに活用する「成層圏プラットフォーム構想」の拠点にもなった。

滑走路3千メートルに

 未来に向けて、大樹町はこれまでの歩みを続ける考え。今後、航空公園内の滑走路が3000メートルに延長され、ジェット機が着陸できるようになれば、さまざまな効果が期待される。さらに、航空宇宙産業の誘致などにもつながることにもなり、宇宙への果てしない夢は今も終わらない。

1984年3月に北海道東北開発公庫(現日本政策投資銀行)が発刊した『北海道東北21世紀展望報告 民間活力が築く21世紀の地域ビジョン』において、航空宇宙産業基地の構想が紹介された。

事 項
1984 3 北海道東北開発公庫(現日本政策投資銀行)が北海道大規模航空宇宙産業基地構想を発表
1985 大樹町が誘致運動をスタート
6 道が新長期総合計画基本構想案の戦略プロジェクトで航空宇宙産業基地を提唱
9 北海道航空宇宙産業基地研究会議発足
11 北海道航空宇宙産業基地研究委員会設立、大樹町を視察
1986 1 大樹で十勝管内初の道航空宇宙産業基地構想研究会開催
4 大樹町航空宇宙産業基地研究委員会設立
8 十勝圏航空宇宙産業基地構想研究会設立
1987 道が新長期総合計画戦略プロジェクトに北海道航空宇宙産業基地構想を盛り込む。大樹が候補地に
8 国際宇宙移動大学夏期ジャンボリー開催
8 日本宇宙少年団大樹分団と十勝支部結成
9 北海道スペース研究会設立
1988 5 大樹スペース研究会設立
6 大樹町議会航空宇宙産業基地構想調査特別委員会設置
9 航空宇宙産業基地誘致対策基金条例制定
1991 2 大樹町スペースセンターを考える会結成
1992 10 大樹初の宇宙関連実験実施 文部省宇宙科学研究所「グライディングパラシュートロケット回収システム基礎実験」
1993 8 大樹初の小型ロケット打ち上げ実験 文部省宇宙科学研究所「超音速パラシュート実験」
1995 10 大樹町多目的航空公園竣工 スカイスポーツフェスティバル・イン・大樹開催
1998 6 科学技術庁航空宇宙技術研究所・宇宙開発事業団 「日本版無人スペースシャトル(HOPEーX)着陸航法基礎試験」
11 大樹町多目的航空公園の滑走路全面舗装化 小型双発機「ドルニエ」滑走路評価実験(初フライト)
2000 8 無人宇宙実験システム研究開発機構「次世代型無人宇宙実験システム(USERS)高空落下試験」
2001 3 東京都立科学技術大などのグループが大樹で国内初のハイブリッドロケット実験成功
3 大樹が文部科学省航空宇宙技術研究所と総務省通信・放送機構の成層圏プラットフォーム飛行試験地に内定
7 大樹町多目的航空公園内に仮設格納庫完成
2002 3 大樹初のCAMUI(カムイ)型ハイブリッドロケット1号機打ち上げ成功
2003 12 大樹町多目的航空公園内に飛行船格納庫、飛行管制塔、気象観測装置完成
2004 8 成層圏プラットフォーム定点滞空飛行試験用実験機(飛行船)登場
2005 10 北海道衛星が旧大樹駅舎で事業所開所
2007 2 国産ジェットエンジン技術試験 防衛省技術研究本部「次期固定哨戒機(PーX)」
5 防衛省技術研究本部「無人飛行機技術試験」
2008 5 大樹町と宇宙航空研究開発機構(JAXA)が連携協力協定調印
6 大樹初の大気球実験(ロープが切れて延期)
8 大気球実験に初めて成功
2010 4 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の研究施設がある自治体の交流組織「銀河連邦」に加盟
2011 2 はやぶさ帰還カプセル特別展示開催
3 堀江貴文氏が創業者のSNS(東京都)小型液体燃料ロケットの実験開始
11 スカイプラットフォーム(茨城県)実験開始
2012 9 IHIエアロスペース(東京都)がデータ収集用小型カプセル「i-Ball」で大気圏再突入時画像データ取得成功
2013 9 宇宙航空研究開発機構(JAXA)が「超薄膜高高度気球」の大気球実験で世界最高高度更新
9 スカイプラットフォームが旧特養に事業所開所
10 堀江貴文氏が創業者のSNSロケット開発部門「インターステラテクノロジズ」事業所開所
10 太陽系の小惑星に「Taiki」。小惑星センターが認定
11 民間(SNS)開発ロケット「ポッキーロケット」商業目的で国内初の打ち上げ
2014 4 山本一太宇宙政策担当相(当時)が宇宙関連施策担当閣僚として初めて来町
4 大樹町宇宙交流センター「SORA」オープン
5 北海道スペースポート研究会設立
8 ご当地土産「スペースチーズ」試行販売開始
9 奥村JAXA理事長が初来町
11 大樹町多目的航空公園が自民党内でロケット新射場建設候補地に浮上
20156「大樹町の航空宇宙産業支援を」道経連
8宇宙開発測深を要望 とかちづくり会議
8辻副知事が航空公園視察
9自民宇宙WTの寺田座長が航空公園視察
20161道経連に宇宙委発足
2射場誘致へ期成会 十勝49団体参加組織改編
3100秒燃焼成功 インターステラ社ロケットエンジン実験
4「ロケット開発、大樹でこそ」堀江貴文氏が講演
5道経連宇宙委が大樹の宇宙関連施設を視察
5インターステラ社がロケット利用受け付け開始
6インターステラ社がロケット実物大模型を製作
7インターステラ社が姿勢制御、誘導実験成功
8内閣府宇宙戦略事務局がインターステラ社を視察
10インターステラ社 ハイブリッド式の点火成功
11宇宙2法が成立
20175自民党政調審議会が新射場整備の適地に大樹を例示した提言案
5JAXAが惑星探査機の開発に向けて離着陸試験
5政投銀が大樹に新射場を整備した場合の経済波及効果を年間267億円と試算
6地元関係者による大樹インターステラ後援会設立
7インターステラ社が観測ロケットMOMO初号機を打ち上げ
11JAXAがISSからの回収カプセルの降下実験に成功
11JTBが宇宙観光モニターツアー実施
12国交省がGPSを使った運転サービス実験
20183インターステラ社が人工衛星の軌道投入機の心臓部に当たる「ターボポンプ」の実験に成功
4JTBの団体研修旅行向けツアー「地恵の旅」に大樹のコース
4大樹町宇宙交流センター「SORA(そら)」がリニューアル
4インターステラ社がMOMO2号機を打ち上げ予定
4
5
インターステラ社が予定したMOMO2号機の打ち上げが機体の不具合で延期
6 インターステラ社がMOMO2号機を打ち上げるも落下炎上して失敗
7 宇宙政策を担当する松山政司内閣府特命担当相が大樹の宇宙関連施設を視察
9MOMO3号機のエンジン燃焼実験を開始
12大樹町がIST実験場の増設、多目的公園の滑走路延伸を検討
20191ISTがロケット「縦吹き」120秒の燃焼に成功
3ISTが人工衛星軌道投入ロケット初号機の打ち上げ目標を、2023年に設定

第一章

1987

第二章

2004

2005

2006

2007

第三章

2008

2009

2010

2011

2012

第四章

2013

2014

2015

2016

2017

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