成層圏の大気採集に成功 JAXA大気球実験
【大樹】宇宙航空研究開発機構(JAXA)は6日、町多目的航空公園内の大樹航空宇宙実験場で、大気球を使った今年度最初の実験を行った。1基を放球し、成層圏の大気を高度別に採集した。
2010年以来、大樹では2度目の実験。大気中の温室効果ガスの量や大気の循環の様子を調べ、気象変動のメカニズム解明につなげるのが狙い。気球に載せたマイナス269度の液体ヘリウムで高度25~35キロの大気を固化して11本のボトルに採集。高度別に二酸化炭素やメタン、窒素、酸素の濃度などを調べる。
午前4時10分すぎに体積10万立方メートル、直径63・4メートルの大気球を放球した。3時間後に目標高度の34・8キロに到達し、サンプルを採集した。装置は同8時20分すぎに同実験場の南東30キロの太平洋に着水した。
今後国内の大学など7機関にサンプルを持ち帰り、分析する。JAXA大気球実験グループの吉田哲也グループ長は「無事気球が上がって良かった。実験の成果も期待できる」と話した。(伊藤亮太)