JAXA大気球実験2年2カ月ぶり放球に成功 大樹
【大樹】宇宙航空研究開発機構(JAXA)は22日早朝、町多目的航空公園内の大樹航空宇宙実験場で昨年6月の気球落下事故後初の大気球実験を行い、約2年2カ月ぶりに放球(打ち上げ)を成功させた。高度40キロの上空から気球につなげた実験機器を落下させ、無重力状態で火がどのように燃え広がるかを観察した。
JAXAの大気球実験では、昨年6月に実験機器を切り離す器具(ロープカッター)の誤作動で大気球が落下。不具合の原因究明と対策の調整で同年度に予定していた他の気球実験を途中で打ち切った。一昨年も上空の風が実験に適さず7~9月の放球を中止している。
誤作動防止策を講じて臨んだ今年度も、第1次実験期間(5月14日~6月30日)に放球予定だった大気球を含む3機が上空の気流不良の影響で全て見送りに。長らく放球できていないJAXAは急きょ、実験期間(8月21日~9月13日)を設けて大気球を活用した無重力での火炎伝播(でんぱ)観察実験に絞って準備を進めていた。
今回、放球した大気球は30万立方メートル(直径91メートル)。午前4時半に放球作業を無事に終えた。同7時10分には鉛筆型の実験機器を落下させ、機器に取り付けたひもに点火。無重力状態で火が燃え広がる様子を確認した。大気球は同7時50分に大樹沖約35キロに着水。大樹漁協などの協力を得て回収した。今後、取得したデータを持ち帰り解析する。
大気球実験の成功は一昨年6月以来。JAXA宇宙科学研究所大気球実験室の吉田哲也室長は「無事に終えてひと安心。同じ失敗はできないのでほっとしている」と胸をなで下ろしていた。(関根弘貴)
◆JAXA大気球実験について
・JAXA 宇宙航空研究開発機構-公式ホームページ
・大気球落下、電線に絡まる 大樹・JAXA 人的、送電被害なし-十勝毎日新聞電子版(2013/06/05)
・JAXA大気球実験見送り 大樹-十勝毎日新聞電子版(2014/07/01)
・大樹での大気球実験期間を追加 JAXA-十勝毎日新聞電子版(2014/07/02)