年内に観測ロケット、ステラ社射場誘致機運高める 宇宙セミナー
国の航空宇宙政策などを紹介する「十勝宇宙セミナー」(道主催)が8日、帯広市内の帯広経済センタービルで開かれた。管内の政財官関係者ら約120人が、国による射場のあり方検討の方向性や大樹町でのロケット開発の取り組みなどについて理解を深めた。
大樹町と十勝圏航空宇宙産業基地構想研究会、北海道宇宙科学技術創成センター、北海道スペースポート研究会の共催。各団体の構成メンバーらが参加した。
道の辻泰弘副知事が「道も次期総合計画に航空宇宙の研究開発や実験の誘致を掲げ、関係自治体や北海道経済連合会などと連携し、大樹町を中心とするロケットの発射実験や関係施設の誘致に取り組む」と語り、中川郁子衆院議員と喜多龍一道議があいさつした。
セミナーでは、内閣府宇宙戦略室の松井俊弘参事官が「我が国の宇宙政策」、宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所の稲谷芳文副所長が「JAXAにおける観測ロケット等研究・実験用ロケットの運用状況について」、インターステラテクノロジズ(大樹町)の稲川貴大CEOが「大樹町における民間企業によるロケット開発の現状と今後の展開」をテーマに講演した。
松井氏は国の宇宙基本計画の工程表に沿った射場のあり方調査について、「来年度以降に具体的検討を行う。今年度は射場がどうあるべきか論点整理を進めている」と語った。稲谷氏は今後の宇宙開発の流れとして、「スペースシャトルのように行き来できる再使用可能な小型ロケットの開発が重要」と指摘した。
稲川氏は同社の超小型衛星用小型ロケットの開発過程を紹介し、今年中に観測ロケットの初号機を、2019年に地球を周回する人工衛星用ロケットを打ち上げる考えを示した。打ち上げ設備について「射場を支えるアスファルトとプレハブの指令所があれば、われわれの宇宙港は完成する。大樹で打ち上げるのが大前提で、自前でも設備を整え打ち上げたい」と話した。(小林祐己、池谷智仁、伊藤亮太)