宇宙旅行へ気球天高く 岩谷技研が大樹で実験 主要拠点化の考え示す
【大樹】気球を使った宇宙旅行のビジネス化を目指すスタートアップ企業、岩谷技研(札幌市)は19日、大樹町多目的航空公園内の1000メートル滑走路で、気球の放球実験を行った。長距離無線の稼働状況を検証するもので、今後、データの解析を進める。同行した岩谷圭介社長は「この広さで実験できるのは素晴らしい」と述べ、大樹を実験の主要拠点に位置づける考えを示した。
同社は宇宙旅行用のプラスチック気球と気密キャビンを開発、今後2年以内に高度25~30キロの「宇宙の入口」に気球を打ち上げる小旅行、遊覧サービスの実現を目指している。これまで沖縄県宮古島市と福島県相馬市で実験を行ってきた。
この日は自然界で分解される素材を使った気球とカプセルを使用。午前7時すぎから実験を開始し、ヘリウムガスで直径1メートル前後に膨らませた気球を上空に飛ばした。気球は順調に上昇し高度33・1キロに到達、水平距離にして83キロ移動し、午前9時45分に釧路沖に着水した。無線信号の受信も確認した。
同社は国内外の複数箇所を打ち上げ拠点にし、実験を展開する構え。岩谷社長は「札幌が拠点なので同じ道内の大樹は一番早く(実験を)展開でき、荷物も運びやすい。非常にありがたい場所だと思う。気象条件がよければ、基本的に(実験場の)第一候補になる」などと述べた。
実験に立ち会った大樹町航空宇宙推進室の菅浩也室長は「岩谷技研のように、ロケットの打ち上げ以外でもスペースポート(宇宙港)を利用するプレーヤーを増やしていきたい」と述べていた。(能勢雄太郎)