大樹が新射場建設候補に浮上 河村建夫元官房長官来勝
【大樹】国の宇宙基本計画(2013~17年度)で効率的な運用が求められるロケット射場の整備に向け、自民党内で新射場建設候補地に、大樹町が浮上している。8日午前には、同党の河村建夫元官房長官が来勝し、大樹町多目的航空公園内の宇宙航空研究開発機構(JAXA)大樹航空宇宙実験場などを視察した。
河村氏は現在、同党の政務調査会宇宙・海洋開発特別委員長、地方創生実行統合本部長を務めている。
8日午前にとかち帯広空港に到着した河村氏は、セスナ機で上空から同公園や大樹、豊頃などを視察し、同公園に着陸。JAXA職員の案内で同施設での実験概要など説明を受けた。
河村氏は視察後に、「国策として射場が鹿児島だけでいいのかという問題がある。今後新しい宇宙基本計画を作るが、大樹町が地勢的に有利な要素を持っていると改めて認識した」と述べ、同町も含めた射場建設の調査実現に意欲を示した。
国内のロケット射場は現在、鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所と種子島宇宙センターのみ。国の現行の宇宙基本計画では、射場などのインフラの効率的な運用・整備の必要性を明記しており、同党宇宙総合戦略小委員会でも、新射場整備についての議論を進め、8月には政府に宇宙開発予算の大幅な増額を求めた。同党関係者によると、同委などの一連の議論の中で、新射場整備の候補地として大樹町の名前が挙がっている。
また、今年5月に道内の産官学で立ち上げた北海道スペースポート研究会は、歴舟川と十勝川に挟まれた大樹~豊頃の海岸線に、3カ所の射場を建設する構想を持っている。
今回の視察には中川郁子衆院議員、NPO法人北海道宇宙科学技術創成センターの伊藤献一理事長、伏見悦夫大樹町長、石田貢豊頃町副町長らが同行した他、正午からは高橋はるみ知事も合流した。
高橋知事も「大樹、北海道にも手応えを感じた」と述べ、伏見町長は「これまで取り組んできたことが芽が出るように努力したい」と期待を寄せていた。
(長田純一、津田恭平)