大樹で無人飛行機実験 IHIエアロスペース
【大樹】宇宙機器の開発・設計・製造を手掛けるIHIエアロスペース(本社東京)が町多目的航空公園周辺で、無人飛行機実験を行っている。同社が開発したデータ収集用小型カプセル「i-Ball」など宇宙から地球に戻ってきた機器の確実な回収につなげることが目的。スイス製の無人機があらかじめ設定した航路通りに飛行するか、空撮機能が的確に働くかなどを確認している。
同社は小惑星探査機「はやぶさ」の再突入カプセルを開発したことで知られる。2012、13年には同公園で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の無人補給機「こうのとり(HTV)」に搭載した同カプセルが、HTVの燃え尽きる様子を収めた画像受信に成功。有人新型ロケット(宇宙往還機)開発につながる取り組みを続けている。
ただ、同カプセルなど宇宙から地球に戻ってきた機器を回収するには、ビジネスジェットチャーター代などの費用が高額で、あまり実施できていない。低コストで回収できるシステムが確立されれば、従来の衛星通信では受信仕切れない動画などデータ取得の幅が広がるため、新たに取り組んでいる。
今回は同社のスタッフ4人が9日に大樹入り。無人飛行機(全長40センチ、幅1メートル、重量700グラム)を飛ばし、地上のパソコンからの指示通りに飛行するか、上空から静止画を的確に撮影できるかなどを確認している。高度は130~250メートル。同公園上空の他、大樹沖での海上実験も行っている。
実施期間は21日まで。同社宇宙機システム室の森崎浩武主幹は「無人飛行機実験は、役場や漁協などが全面的に協力してくれる大樹町でしかできない。実験を通して回収技術を向上させることで、データ取得の充実につなげたい」と話している。(関根弘貴)