小型無人機でトラブル回避実験 金沢大と横浜国大 大樹
【大樹】金沢大と横浜国立大が今年も町多目的航空公園北側原野で、宇宙と地球を行き来する「宇宙往還機」の開発に向けた実験を行っている。気球でつり上げた小型無人機を上空100~150メートルから落下させ、自動制御で着陸させる実験。飛行中に発生したトラブルを、安全・確実に回避するシステムの確立を目指す。29日まで。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)との共同研究の一環。金沢大は得竹浩准教授と学生6人、横浜国立大は上野誠也大学院教授と学生3人が22日に大樹入りした。着陸時の機体破損を防ぐため、雪のクッションがある冬季に行う。
得竹准教授は大阪府立大に勤務していた2007年から、町内で同往還機の実験に取り組んでいる。トラブル回避に関する実験は11年に始め、昨年から横国大と共同実施している。
無人機(全長80センチ、幅60センチ、高さ20センチ)は動力のないグライダー型。発泡スチロールで造った機体の外側を、ガラスを溶かして繊維状にした「グラスファイバー」などを組み合わせた複合材で補強している。
金沢大はあらかじめ主翼の一部を破損させた無人機が気球から分離後、同機に取り付けたコンピューターが、空気抵抗など通常の飛行データと異なるデータを飛行しながら検出できるかを確認している。横浜国立大は、同機に搭載したコンピューターが分離後に指定した落下点に向けて最も緩やかな軌道を確保し、航行できるか試している。
25日午後は金沢大の実験が行われた。気球・機体とも無事に回収した得竹准教授は「必要なデータが順調に取れている。大学に持ち帰って解析し、精度の高い自動飛行制御システムの確立につなげたい。広大な土地で実験できる大樹は有意義な場所。こんな場所は他にない」と話した。
27日からは金沢大が民間会社との共同研究として、小型ヘリコプターを使った実験を同公園で行う。
(関根弘貴)