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商業射場4案 実験用は浜大樹に 大樹町が宇宙港基本構想

浜大樹実験場の南側で計画している射場と滑走路延伸の計画図

滑走路新設も
 【大樹】町は将来のロケット射場整備に向けた基本構想を報告書にまとめ、27日に公表した。町内の射場を実験用の「L1」、商業用の「L2」の2段階で整備する計画。L1はインターステラテクノロジズ(IST、稲川貴大社長)が使用している浜大樹の実験場の南側、L2は町内の4地区を案として初めて示した。町多目的航空公園の滑走路(1000メートル)の延伸・新設なども盛り込んでいる。町はスペースポート(宇宙港)の実現に向けて、「新しい段階に踏み込んだ」としている。

 L2はイプシロン級(全長約30メートル)の運用や、複数企業が多頻度で打ち上げることを想定。候補地は生花、晩成、ホロカヤントー右岸(晩成)、美成の4地区を挙げた。いずれも太平洋岸で、津波による浸水想定や自然環境への影響は確認している。ホロカヤントー右岸は環境影響の実地調査を今後行う。

 射点のほかロケット組み立て棟や酸化剤保管庫、射点から2キロ以上離れた場所には管理施設や衛星整備棟を想定。1カ所に絞り込む時期や事業費などは未定としている。

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 L1はISTが全長10メートルの観測ロケット・MOMO(モモ)を打ち上げている実験場の南側に整備、射点と組み立て棟を配置するほかコンクリート舗装(130メートル×40メートル)を行う。事業費は2億6000万円を想定。ISTは開発中の人工衛星軌道投入用ロケット・ZERO(ゼロ)の2023年打ち上げを目指しており、町は今年度中に概略設計の関連予算を計上する考え。町は「L1はZEROに間に合うよう整備したい」とする。

 L1の整備と合わせて、多目的航空公園の滑走路を1300メートルまで延伸する計画。想定費用は3億5000万円。L2の整備時期に3000メートルの滑走路を別途新設する3案も示し、現滑走路と平行に位置する案が有力とした。総事業費は概算で216億円。

 滑走路の延伸は水平離着陸機への対応が目的。有人宇宙旅行を目指す「SPACE WALKER」(スペースウォーカー、東京、眞鍋顕秀CEO)が町内での実験を想定し、滑走路の延伸を要望するなどニーズがある。

 新射場整備の事業計画を検討している北海道航空宇宙企画(HAP、社長・酒森正人町長)は基本構想を参考に、来年度中にも事業計画を策定、事業運営会社に移行することにしている。

 黒川豊副町長は「報告書はスペースポートに向けた一里塚。宇宙関連企業の要望を聞きながら、航空公園の機能拡充を進めたい」と話している。

 町は17~19年度の3年間で宇宙港の在り方を検討。報告書は「施設検討編」のほか「環境影響評価編」「観光」「テレワーク」をテーマとした計4冊で構成する。報告書は28日にも町のホームページで公開、町図書館でも閲覧できるようにする。(松村智裕)

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