MOMO 打ち上げ80秒後に緊急停止 海上に着水
【大樹】インターステラテクノロジズ(IST、本社大樹町、稲川貴大社長)は30日午後4時31分、観測ロケット「MOMO(モモ)」初号機を町大樹浜の実験場から打ち上げた。打ち上げ後66秒で機体からの飛行データを受信できなくなり緊急停止、機体は射点から東南東6・5キロの海上に落下した。目標としていた高度100キロ以上の宇宙空間には到達しなかった。今回の実験での課題解消を図り、年内にも再度宇宙を目指す後継機打ち上げを行う考えを示した。
MOMOはエタノールと液体酸素を燃料とする液体燃料ロケット。全長は10メートル、直径50センチ、燃料を含んだ重量は1150キロ。民間企業単独としては初めてとなる宇宙空間到達を目指した。飛行中の機体やエンジン、姿勢制御、通信機器も試験した。
ISTによると、データが途絶えたときは高度が約10キロ、秒速400メートルで上昇中。機体に空気抵抗が最も大きくなるタイミングで、機体が損傷し内部の電線が切断された可能性などが考えられるという。MOMOは緊急停止後も上昇し、到達高度は20キロ弱だった。
データ途絶するまでは正常にデータを得られていたことや、飛翔経路も想定通り、エンジンも十分な性能が発揮できたと評価し、稲川社長は「地上での実験がしっかりと再現できた」と話した。後継機については機体の改良や打ち上げ手順の効率化を図り、「関係者と調整した上で打ち上げ時期を決めていきたい」と話した。
打ち上げは当初29日に行う予定だったが濃霧で延期。予備日の30日は午前5時~同8時を目指したものの、燃料の液体酸素タンクのバルブが動かなくなるなど機体のトラブルが複数判明。対策を施し、午前10時20分~午後0時半の打ち上げを試みたが、警戒区域内に船舶を確認、安全を確保できないとして延期していた。
30日午後の打ち上げは、前日の会見で取りやめると説明していたが、関係各所と再度調整。最後のチャンスとして復活させ臨んだ。
MOMOは最大20キロ程度の機器を搭載でき、約4分間の微少重力環境が得られる。商業打ち上げ開始を目指しており、大気や宇宙観測、微少重力環境での試験、企業、商品広告などで利用できる。
ISTは超小型人工衛星の格安打ち上げサービス開始を目指すベンチャー企業。2005年に、前身組織で、民間での宇宙開発を目指す「なつのロケット団」を結成、13年には大樹町にISTを設立し、開発を進めてきた。(伊藤亮太)
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