「29日へ万全を期す」 ロケット打ち上げ延期で稲川社長
【大樹】インターステラテクノロジズ(大樹、IST、稲川貴大社長)は、28日に町浜大樹の実験場で予定していた、高度100キロの宇宙空間を目指す観測ロケットMOMO2号機の打ち上げを29日に延期した。最短の打ち上げ時刻は29日の午前5時~同8時。稲川社長は「(あすに向けて)万全の態勢をとる」と述べた。
同日午前4時から準備作業を始めたが、機体を格納庫から出すまでの機体チェックに時間を要した。その後の燃料充填などを含めると、関係機関と取り決めた午前11時から午後0時半までの打ち上げ時間帯に間に合わないと判断した。同日確保していた午後4時~同5時半の時間帯は、強風予報のため見送った。
午前9時すぎに記者会見した稲川社長は「大きなトラブルではなく、既に機体は格納庫から出せる状況になったが、間に合わないと判断した。29日朝は風が弱い予報なので万全の態勢をとりたい」と説明。「ご迷惑を掛けるが安全に打ち上げたい。『実験』として技術的な実証をするため万全を期す。理解を」とも語った。
IST創業者で取締役の堀江貴文氏は「打ち上げできるよう、ぎりぎりを攻めたが、1つ1つで地味に時間がかかったのが累積し、間に合わなかった。明日は期待してほしい」と話した。同席した酒森正人大樹町長は「安全に打ち上がるようISTが判断したのだと思う。打ち上がるよう待ちたい」と述べた。
29日は午前5時~同8時に打ち上がらなかった場合、午前11時~午後0時半、午後4時~同5時半の打ち上げを目指す。
2号機は昨年7月に打ち上げ高度20キロにとどまった初号機(1号機)に続き、国内民間企業単独では初の宇宙空間到達を目指す。全長10メートル、直径50センチ、重さ1・15トン。エタノールと液体酸素を燃焼させ推進力を得る。荷物(ペイロード)として高知工科大学の観測機器を搭載している。
ISTはエンジニアや作家らが2005年に結成した民間の宇宙開発グループ「なつのロケット団」を前身とし、人工衛星打ち上げの事業化を目指すベンチャー企業。2013年から大樹町を拠点にロケット開発を進めてきた。(眞尾敦)
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