JAXA今年度の大気球は3機 大樹
【大樹】宇宙航空研究開発機構(JAXA)は4月30日、町多目的航空公園内の大樹航空宇宙実験場で今年度予定している実験概要を発表した。打ち上げ予定の大気球は3機。実験機器を切り離す器具(ロープカッター)の誤作動で大気球が落下した不具合の原因究明と対策の調整で、昨年実施できなかった大気球4実験のうち、火星探査用飛行機の高高度飛行試験など3実験を行う。
大気球実験は第1次(5月14日~6月30日)に3機放球する。11、12月にオーストラリアで長時間天文観測気球実験を行うため、例年実施していた第2次実験(7~9月)は行わない。
火星探査用飛行機の高高度飛行試験は気球につり下げた模型機(長さ2メートル、幅2・6メートル、重量5キロ)を大気の温度(氷点下50度)や気圧(100分の1気圧)が火星と似ている高度36キロ付近から飛行させ、速度、圧力などのデータを収集。将来的な航空機による火星探査の実現につなげる。
昨年度のロープカッター誤作動の原因は静電気で器具の回路が壊れたことだった。JAXA大気球実験室の吉田哲也室長は「新しい回路の試験を繰り返し、対策は万全だ」と話した。
航空関連では日本原子力研究開発機構と小型固定翼無人機を用いた放射線モニタリング(監視)システムの共同研究を昨年に引き続き行う。福島第1原発周辺の放射線量観測に必要な飛行機能を確認する。昨年度実施しなかった「再使用観測ロケット」(何度も繰り返し活用するロケット)の試験やレーザー高度計の性能実験なども行う。
(関根弘貴)