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天然ガス ロケット推進 IST「ゼロ」 エンジン燃焼実験 大樹

ごう音とともに勢いよく炎を吹き出すZEROのロケットエンジン(新井拓海撮影)

 【大樹】町内のベンチャー企業インターステラテクノロジズ(IST、稲川貴大社長)は13、15の両日、町浜大樹の実験場で、人工衛星打ち上げ用ロケット「ZERO(ゼロ)」のエンジン燃焼実験を行った。次世代燃料として注目される液化天然ガス(LNG)用エンジンの実験は町内で初めて。所定の動作や設備の健全性、燃焼特性などを確認した。

 ゼロは高度500キロの地球周回軌道に人工衛星を投入する2段式ロケット。昨年5月に高度100キロの宇宙空間に到達した観測ロケット「MOMO(モモ)」のノウハウもつぎ込み、2023年の打ち上げを目指す。

 ゼロに搭載するエンジン10基は1基がモモの5倍の推力を持つ。エンジンの主要部品は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)や室蘭工業大学と共同研究を進めている。

 推進剤として、モモはエタノールと液体酸素を用いているが、ゼロではメタンを主成分としたLNGと液体酸素を使用する。経済産業省からの委託事業となる今回の燃焼実験では、LNGの代わりに圧縮天然ガス(CNG)を使用した。

 実験にはゼロのエンジン1基で見込んでいる推力と同じ6トン級を使用。13日に着火試験に成功、15日は予定していた約5秒間の燃焼実験を行い、ごう音とともに鮮やかなオレンジ色の炎が噴出した。

 ゼロの開発を統括する植松千春さんは「今回は6割ほどの出力で行ったが、推進剤として天然ガスを燃やし、衛星投入ロケットの開発が本格化してきたといえる」と手応えを示した。

 今月中にゼロで導入するエンジンの再生冷却システムの開発に向けた実験も行う予定。(松村智裕)

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