大樹発 夢の宇宙へ 秋にロケット
【大樹】大樹発のロケットが初の「宇宙」へ-。町内に工場を構えるロケット開発会社が今秋、大樹町多目的航空公園周辺から、国際航空連盟(FAI)が宇宙空間として定義する「高度100キロ」への液体燃料ロケット打ち上げに挑戦する。町が1985年から宇宙のまちづくりを進めて、今年は30年の節目の年。「宇宙のまち・大樹」が思い描き続けてきた夢の世界へ、歴史の一歩を踏みだす。
堀江氏ら挑戦
挑戦するのは「インターステラテクノロジズ(IST)」(大樹町芽武、稲川貴大代表)。ライブドア元社長で、同社の親会社SNS(東京)を創業し、ロケット開発事業の中心メンバーである堀江貴文氏が昨年12月、十勝毎日新聞のインタビューで明らかにした。
人を乗せて宇宙と地球を行き来する機体「有人宇宙往還機」の独自開発に向けた取り組みで、宇宙に短時間滞在して地球に帰ってくる「サブオービタル飛行」の確立を目指す。最大の目標は高度100キロ到達。使用する機体は全長6~7メートル、直径60~70センチ、推力500~700キロを想定する。同公園周辺から打ち上げ、大樹沖で回収する考えだ。ビデオカメラなどを搭載し、機体の制御状況なども確認する方向。
ISTは昨年8月から、同公園周辺で大樹初のロケットエンジン燃焼実験を実施。10~12月には姿勢制御実験も繰り返した。年明け早々にはコンピューター制御状態でロケットを高度200~300メートルまで打ち上げる見込み。これが成功すると、「高度100キロに向けた要素の大半が整う」(堀江氏)といい、秋までの打ち上げを目指している。
宇宙へのロケットの打ち上げは、30年間にわたって宇宙のまちづくりを進めてきた大樹町にとって、節目を祝う大きな実験となる。伏見悦夫町長は「『大樹から宇宙へ』という夢がかなう。しっかり応援したい」と期待している。
同社は今後、関係機関に実験内容を説明するなど安全な実施に向けて調整を進める方針。(関根弘貴)