実験機器、ゴム気球で打ち上げ JAXAが大樹で実験
【大樹】宇宙航空研究開発機構(JAXA)は22日、町多目的航空公園内の大樹航空宇宙実験場で、来年度に国際宇宙ステーション(ISS)から放出する予定の実験機器の試験機をゴム気球で打ち上げ、動作を確認する実験を行った。
物資を輸送するカプセルなどが宇宙から大気圏に突入する際、カプセルから膜を広げて減速し、大気圏突入時の高熱を抑える手法の研究が進められている。次世代の大気圏突入システムとして惑星探査などへの応用が期待され、来年度にはISSからの放出実験が予定されている。
この日は、放出実験に用いる機器とほぼ同じ機能を持つ試験機を使い、太陽光パネルを開くための装置や衛星通信網を使った通信が正常に機能するか確かめた。
午前5時ごろに直径11メートルのゴム気球1基を放球。同6時40分ごろに高度31・7キロに到達し、パラシュートで試験機を降下させた。試験機は同7時15分ごろに実験場の北東約95キロの海上に着水した。
JAXA大気球実験グループの吉田哲也グループ長は「期待した通りの実験ができた」とし、今後、収集したデータの詳細な分析を行う。
また、この日の実験を終え、今年度JAXAが大樹で行う大気球実験は終了した。当初9月5日まで、計3回の実験を予定していたが、今後の気象条件が思わしくないため、残る1回の実験は実施を見送った。(伊藤亮太)