アジア初の民間宇宙港プロジェクトが本格始動 大樹町とスペースコタンが記者会見
【札幌】大樹町とロケット発射場の運営会社「SPACE COTAN(スペースコタン)」は21日、札幌市内で記者会見を開き、アジア初の民間宇宙港「北海道スペースポート(HOSPO)」プロジェクトの本格始動を宣言した。大樹町多目的航空公園での小型ロケットの打ち上げなどを拡充、今年度から宇宙港整備に向けた資金調達を本格化させる。2023年度までに射場と、スペースプレーンの離着陸試験用滑走路を完成させることを目指す。
アジアで現在、民間の小型ロケットを打ち上げているのは大樹のみ。垂直型と水平型の双方に対応した打ち上げ環境を目指す宇宙港も存在しない。
酒森正人町長は「宇宙版シリコンバレーは衛星データの活用による農林水産業のスマート化、国内外の観光客の増加といった経済波及効果をもたらし、道内に幅広い恩恵をもたらす。オール北海道で応援してほしい」と述べた。
20日に設立したスペースコタンの小田切義憲社長は「会社名の『コタン』はアイヌ語で集落の意味。航空宇宙産業を集積させ、十勝から北海道を活性化させる」と意気込みを語った。
会見には、鈴木直道知事も「道として企業誘致や情報発信など協力を惜しまず、道内航空宇宙産業の発展に取り組む」とのコメントを寄せた。
HOSPOは23年度までに人工衛星用ロケットの射場整備と、既存滑走路の延伸を図る方針。10億円の費用が必要で、5億円は今年末までに「ふるさと納税」や通常の寄付も含めて集めるとしている。将来的には有人スペースプレーン用の長距離滑走路の新設も目指す。
日本政策投資銀行は、宇宙港整備に伴う道内経済への波及効果は年間267億円と試算している。
記者会見には、鈴木直道知事代理で道経済部の安彦史朗課長、道経連の増田正二副会長、エア・ウォーターの唐渡(からと)有副社長、宇宙飛行士の山崎直子氏、北海道スペースポート研究会の伊藤献一事務局長も同席。北海道宇宙科学技術創成センター(HASTIC)の上杉邦憲理事長がオンライン参加した。(奥野秀康、安田義教)