ゆかりの地で「夢」挑戦 ロケットの燃焼器開発 大樹・IST転職の遠藤さん
祖父母が十勝在住
【大樹】インターステラテクノロジズ(IST、本社大樹、稲川貴大社長)で、造船業界から昨年10月に転身した技術者遠藤瞳さん(27)が、観測ロケット2号機改良の核となる、姿勢制御装置の燃焼器(チャンバー)を設計・開発している。祖父母は士幌町の酪農家で、なじみの深い十勝からの挑戦。「みんなの力で高度100キロの宇宙を目指したい」と、今春予定の打ち上げに向け意気込む。
遠藤さんは1990年北見市生まれ、紋別市育ち。2016年北大大学院工学院修了。大学では宇宙環境システム工学研究室に所属し、「CAMUIロケット」開発で著名な永田晴紀教授の指導で、研究に取り組んだ。
ISTの稲川社長(東京工業大学大学院修了)と同様、学生時代は鳥人間コンテストに打ち込み、参加した大会で稲川社長と知り合った。修了後は大手造船会社に勤め、岡山県で海上自衛隊の艦船のメンテナンスなどを担当していたが、1年半で退職。稲川社長に電話をかけ、ISTへの就職が決まった。
父方の祖父母が士幌町の酪農家で、十勝は毎年何度か訪れていた地でなじみがあり、ためらいはなかった。今月も祖父母宅を訪れ、十勝の親戚からも応援を受ける。
入社早々、2号機の姿勢制御装置の中核部分を担当。ISTが観測ロケットと同時開発している人工衛星の軌道投入機の装置を参考に設計し、11月下旬から燃焼試験を始めた。
学生時代の研究や、造船でエンジン周りなどを担当した経験を生かしながら、資料や学会参加で情報を集めてアイデアを練り、試行錯誤を重ねた。2月上旬までにほぼ装置は完成し、「出力も燃費も十分な性能に仕上がった」と胸を張る。
現在は軌道投入機開発に向けても運用・実験に奔走し、「高度100キロがゴールではない」と見据える。「体はきついが、やりたいことをやれているので楽しい」と、日々打ち込む。(眞尾敦)