ISTの取り組み紹介 都内で宇宙産業シンポ
【東京】日本と欧州各国が宇宙産業の可能性を探る、日欧宇宙ビジネスウィークのメインとなる宇宙産業シンポジウム(日欧宇宙産業協力センター、宇宙システム開発利用推進機構主催)が6日、都内で開かれた。民間ロケット開発のインターステラテクノロジズ(IST、大樹町)の取り組みが紹介された他、関係者は事例発表を基に宇宙と他産業との融合の必要性で理解を共有した。
関係者約200人が聴講した。経済産業省宇宙産業室の鶴田将範室長は基調講演で「現在は9割近くを官需が占めるが、防災や農業など利用先の産業を増やすことが重要になる」と指摘。特にリモートセンシング(遠隔探査)分野に期待を示し、「高解像度の衛星画像を、ドライブレコーダーや防犯カメラの感覚で活用できれば、土地取引や投機などさまざまな分野でビジネスチャンスが広がる」と展望した。
ISTについて「若者たちが自分たちの技術で挑み期待している」と評価。8月31日の日英共同宣言で、産業分野での連携を盛り込み、宇宙分野のワーキンググループ(WG)立ち上げに合意したと報告し、「欧州とは特にデータ利用の面で日本と親和性があり、いろいろ協力できる。さらに交流したい」と述べた。
シルヴィウ・ジョラ日欧宇宙産業協力センターEU側事務局長は「最後の開発分野とされる宇宙産業は、気候変動や災害などのグローバルな問題に立ち向かうことができる」と国際協力の重要性を指摘した。ドイツ、イタリアなどから7人が来日。8日は十勝入りしてIST本社や農場を見学し、地球観測データの農業への活用や農機の自動操縦を視察する。(原山知寿子)