No.35
高校時代からの親友
○…同級生同士の自動車旅行の途中、意見が衝突し、けんかとなり、「俺は帰る」と車を降りて本当に帰ってしまった男がいる。しかもアメリカから。人柄は偏屈、あまのじゃく、変人…私の高校時代からの親友。
○…名前は川田貞。札幌南高を卒業後、JAL札幌支店に勤めていた。帯広にも知人が多い。出世を嫌い、辛辣(しんらつ)な意見を持ち趣味が多く、ジャズはプロの評論家で、ライターでもある。ラリーもプロ級。仲間との迎合を嫌い、必ず論議を巻き起した。
○…米国西海岸の国立公園地帯を何と、25回走破。誘われて、2010年4月に6300キロ、13年5月に7400キロの2回同行した。ハンドルを握るとカキのタネ、さきイカを食う。車内は臭い。運転は、ラリーそのもの。こっちは、目が回る。「川田、もっとゆっくり走れ!」と声を掛けると、逆にスピードを出す。“ヘソ曲がり”。こんな面白い男が、1年前の2月、大好きな温泉の大浴場で居眠り、水死してしまった。本音で生きた個性的な友人を失った。早や一周忌。「おーい、川田。まだアメリカを走っているか…」 (会長主筆・林光繁)