No.34
十勝の益荒男(ますらお)折笠健さん
○…「ますらおが心定めし北の海 風吹かば吹け浪立たば立て」-。依田勉三が1883(明治16)年、伊豆を出発する際に決意新たに読んだ歌である。益荒男(ますらお)は万葉集で“強く勇ましい男子”として登場する言葉。健と書いて、ますらおと読む名前の男が十勝にいる。オーガニック農業のリーダー・折笠健さん(50)=写真=である。
○…今の十勝は、歴史上かつてない大転換期。安くてうまい欧州産チーズ、ワイン等が来月から安価でスーパーマーケットに並ぶ。日欧EPA(経済連携協定)のスタートである。十勝は、チーズの主産地、ワインも池田が日本の先進地。「多かれ少なかれ、影響を受ける」と十勝総合振興局は予測する。
○…折笠さんは既に対応策に取り組んでいる。「日本人向きの食品開発には、食卓を守る母親たちの意見をよく聴くこと」と語り、食事に欠かせない調味料・酢、マヨネーズ、マスタード、ジャム等のオーガニック製品の来春からの製造・販売を射程に入れている。勉三のフロンティアスピリッツを受け継いだ、世界的な変革を先取りする勇敢な十勝人がここにも居た。(会長主筆・林光繁)