No.12
祖父豊洲の秘話
◯…「1920年6月夕暮れのどしゃ降りの雨中、帯広墓地(東8南14)の熊害(ゆうがい)で亡くなった元道議菅野光民氏の墓石の前で、静かにこうべを垂れている男がいた。のぞいたら林豊洲さんでした」。往診帰りの外科医、故・新津正己氏が語ってくれた-と、今年6月8日、トムラウシの遭難碑前の100年祭の折に漏れ聞いた。
◯…十勝毎日新聞の創設者で祖父の豊洲は、35年12月20日、46歳の若さで高血圧症により逝去したので、私は生前の祖父の仕事ぶりや生活習慣は知るよしもなく、故・父克己から伝え聞いた。「科学に基づく農業振興を主張」「バイオリンを弾き、十勝の野球やテニスの草分け」という。私には手が届かない論客であり、“モボ”(モダン・ボーイ)だった。
◯…墓前の話は、私には初耳であり、勝毎創設の恩人・菅野氏への敬慕の姿勢は“井戸を掘った人を忘れない”感動的シーン。お盆を迎えて、今生のライフスタイルに生かしていこうと、私の胸に強く刻んだ。(会長主筆・林光繁)