No.11
一握の砂
○…「東海の小島の磯の白砂に われ泣きぬれて 蟹とたはむる」-。石川啄木の第一歌集「一握の砂」の巻頭歌。「砂」をテーマに考えると、まず頭に浮かぶのはこの歌である。
○…西日本豪雨から1カ月。土石流被害現場のテレビ中継でリポーターは「“真砂土(まさど)”が家を埋め尽くしています」と語っていた。花こう岩が風化して山に埋まっていた石と砂が、大雨で土石流となって、押し寄せた。
○…私が清水町御影に持っていた約5000平方メートルの池も、この白っぽい“真砂土”で完全に埋まった=写真。フナ、金魚、コイを放流、好きな場所だっただけに残念。道路1本挟んで流れる小川が氾濫した結果だった。2年前の台風10号で、800カ所で土石流が起きていたと北大はみている。私の池のように、河床が土石で上がっている。「一握の砂」とたわむれていられないほど、災害がすさまじいのが十勝の現状だ。(会長主筆・林光繁)