No.09
心配性の父
○…死んでから25年にもなるのに、最近、父・克己の行いをことあるごとに思い出すのはなぜだろう。父は1993年に82歳で亡くなった。あと、5年余りで同年に達するせいかもしれない。
○…台風、低気圧で強風が吹くと、父は必ず帯広消防署に「火の用心を呼び掛ける街宣車を出せ!」と、署長に電話をかけた。消防も団長や市長から言われたように、忠実に街宣車を繰り出していた。
○…「天災は忘れたころにくる」は、随筆家・寺田寅彦の言葉。北大教授・中谷宇吉郎(雪の結晶の研究)がこれを広めた。東日本大震災、熊本地震、2016年8月の北海道台風大雨災害、18年7月の豪雨-。こう立て続けに天災が襲ってくると「天災はいつでもくる」と言いたくなる。父親の“心配性”は必然だったのだ。“想定外”は死語にして「用心よりも用意をせよ!」-。(会長主筆・林光繁)