No.03
能勢眞美画伯の代表作
○…「緑の画家」と呼ばれる能勢眞美(1897~1982年)の代表作の一つとも言える油彩画「緑陰の佇(たたずみ)」(1955年)=写真=が、私のコレクションに最近加わった。良い作品との出合いはうれしい限りだ。
○…能勢の次女美智子さんの手元にあった作品。部分的に剥落があり、保存状態も良くなかったため、東京に修復に出した。ところが、その直後に美智子さん宅が火災に見舞われ、多くの作品が被災。運の良い絵だったと言える。劣化は気にならないほどきれいに修復され、現在、私の机の左手壁に掲げられている。
○…気に入っている理由は絵の中央にある。戦後、能勢が札幌から帯広に転居してきた際に現在の北海道ホテル(帯広)の庭の西側にあった住宅が描かれていることだ。移住後、能勢は「帯広には風景がない」と悩んでいた。しかし、足元の庭の中に絵になる“風景”があった。力強い木々、枝の間に見える青空。まるで能勢の心境を表しているようだ。(会長主筆・林光繁)