牛げっぷメタン削減へ、可視化システム構築 肉牛事業協組が東農大と連携
ノベルズ音更農場で実証
【東京】全国肉牛事業協同組合は東京農業大と共同で、肉用牛生産における温室効果ガス削減の可視化システム構築に取り組む。牛のげっぷに含まれるメタン削減に向け、メタン抑制が期待される飼料を与えて効果を検証する。ノベルズ(上士幌)の音更農場などで実証する。
同組合によると、国内の温室効果ガス排出量のうち、畜産由来が占める割合は約1%。温室効果ガス削減が求められる中、牛のげっぷが問題視されることもあり、科学的知見を集めて可視化システムを構築して対応方向を提示する。事業は今年度から3年間で、日本中央競馬会畜産振興事業を活用する。
実証では、人工ルーメン(第一胃)を使った研究でメタン低減効果が確認されたカシューナッツ殻液を混合した飼料を与え、げっぷに含まれるメタン濃度を測定。ノベルズ音更農場を含む全国3カ所の実証牧場で、黒毛和種と交雑種100頭を対象に、牛群ごとに飼料の量を変更して学術データを収集する。
また、堆肥処理過程で発生する一酸化二窒素の削減を図るため、3種類の堆肥処理システムを用いて早期好気性発酵処理の効果を測定する。
17日に都内で事業説明会を開き、同組合の中林正悦理事長は「数字に基づく知見を集め、理解と共感を得られるよう発信したい。科学的根拠が明らかになったものから着実に進めたい」と語った。事業に協力するノベルズの延与猛シニアマネジャーは「持続可能な牛肉販売のため、メタン削減は常々考えていた。メタン問題の改善につながれば」と期待した。(池谷智仁)