2023トップインタビュー「十勝地区農業協同組合長会 有塚利宣会長」
全国に誇る十勝農業 一層期待に応える一年に
本年は母なる十勝川水系の治水事業が始まって100周年にあたり、先人の長きにわたる開拓当初の過去を学び、新たに躍動する新しい時代の幕開けの年だ。
これまで日本は日清戦争に始まり、1945年8月15日まで50年間、決してやってはいけない近隣諸国との戦いを続けてきた大きな反省がある。戦後の焼け野原で食糧が皆無に近い状態から、日本は食糧の自給率を高めるために戦後農政で農地の解放、そして自作農創設と、小さな農民が地位向上を目指してきた。
世界各地においてウクライナ戦争をはじめとした思想の戦い、宗教の戦いなどが起こっている。これも国土と命の奪い合い、まさしく眼下に食糧の奪い合いが起こっているということだ。食糧の安全保障はどんな友好国でも自国優先ということがグローバル社会においての原則だ。
今まさに自国の食糧は自国で守るという政治が動いている。その流れが日本国民の大きな胎動となっていることについて、政治も学者も消費者(国民)も一致している。私たちはその流れに大きく、大きく応えていかなければならない。生産現場の使命を感じている。同時に「いよいよ農業の出番がきた」と強く感じ、皆でより一層農業の前進を図って参りたい。
物流では2030年までの北海道新幹線の札幌延伸が決まり、すでに着々と工事にとりかかっている。万が一物流で津軽海峡の海底トンネル通過が困難となった場合、どうなるかを考える。「働き方改革関連法」での物流業界の規制も迫っており、行政を中心にこれらの問題に今から取り組んでいかないとならない。十勝の物流が途絶えることがあってはならない。
2022年産農畜産物の十勝管内JA取扱高(概算)は合計3494億円となった。優れた生産基盤と、気概のある生産者が育ち、国内の農畜産物の1/10を十勝が算出している。まさに日本の中で誇りうる十勝農業の強さだ。十勝一丸となって多くの皆さま方の支えやご指導をいただきながら、さらに一層注目され、求められる農業にするために全身全霊をかけ、期待に応える一年としたい。