札幌にココノやBiVi、新複合施設が続々登場 再開発の行方は不透明
【札幌】札幌市内に新たな複合商業施設が相次いで登場している。11月30日、中央区で「COCONO SUSUKINO(ココノ・ススキノ)」、厚別区で「BiVi新さっぽろ」が開業した。十勝を含む全道の特産や道内初進出の店舗がそろう新施設は、消費者や観光客の人気を集めそうだ。(奥野秀康、安藤有紀)
買い物に観光に 全道の特産販売ホテルや映画館
旧ススキノラフィラ跡地に建設されたココノ・ススキノは、夜の街として知られるすすきのを「昼からにぎわい、楽しめる場所」にすることがコンセプト。地下鉄すすきの駅と直結する地上18階地下2階、延べ床面積5万3104平方メートルの建物には、ホテル、映画館とともに、道内初出店を含む85店舗が入居する。
30日午前11時の開業時には、ビルの周りに入店待ちの行列ができた。韓国コスメ店と本格セルフ写真館が一体化した日本初のショップ「cos:mura/Self Photo OnAir」など若者の支持が集まりそうな店舗に加え、札幌市中心部に初めて出店したダイイチの店舗にも多くの買い物客が訪れた。
一方のBiVi新さっぽろは、JR新札幌駅と札幌市営地下鉄新さっぽろ駅に直結した利便性の高さが魅力。建物は地上4階地下2階、延べ床面積は約2万166平方メートル。34のテナントが入居している。
「コープさっぽろ」「サンドラッグ」「ロフト」など地域住民の生活を支える食品や日用品のテナントをそろえた。施設のシンボルでもある室内公園「BiViPARK」では、天候に左右されず飲食やイベントが楽しめる。オープンとともに大勢の買い物客が詰めかけ、道内初出店の「ジェントルベーグル」などに順番待ちの列ができていた。
新たな商業施設が次々と誕生し、華やいで見える札幌。ただ、足元では冬季五輪招致の消滅や北海道新幹線の札幌延伸が遅れるリスクが生じ、再開発の先行きは不透明になっている。
市中心部では7月の「モユクサッポロ」に続いて「ココノ・ススキノ」が誕生。中長期的にはJR札幌駅周辺で、超高層ビルの建設プロジェクトなども計画されている。
しかし、冬季五輪の招致が事実上困難になったことで、五輪をターゲットに再開発や街づくりを進める意味合いは薄れた。さらに、北海道新幹線の札幌延伸が工事の遅れにより、当初の2030年度から後ろ倒しの可能性が出ている。
また、次世代半導体の国産化を目指す「ラピダス」の千歳進出で建設特需が発生。「バブルの様相を呈している」(千歳市関係者)との声もあり、道央圏でも建設に関わる人材や資材が不足傾向になりつつある。
新札幌エリアでは、今回のBiVi開業で一連の再開発事業が完了した。市内の再開発は今後、新幹線札幌駅の周辺を含む中心部を核に進むことになるが、人手不足や資材高騰が相まって、ペースが鈍化する可能性が高くなってきている。
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