鳥インフル感染拡大や供給は? 採卵業者やスーパー困惑
清水町内の養鶏場で採卵鶏から高病原性鳥インフルエンザが確認されたのを受け、十勝管内の採卵農家は「人ごとではない」と危機感を募らせ、感染拡大を防ぐための防除や衛生管理に気を引き締める。今回発生した養鶏場は管内でも最大規模で、取引があったスーパーでは年末需要期の仕入れ減や消費者への影響など心配も広がる。十勝では初めて殺処分が必要となる深刻なケースとなり、関係者の困惑も大きい。
■管内養鶏場
「同業者として胸が痛む。鳥インフルエンザはどこで発生するか分からず、人ごとではない」。音更町内のある養鶏場の経営者は事態を重く受け止める。
管内では今月に入り、上士幌と音更で野鳥の死骸から鳥インフルの陽性反応が相次いで確認された。だが、今回は発生場所が養鶏場で、高病原性と確認された最悪のケース。「気を付けても100%抑えられるものではない。養鶏場の出入口に消毒の踏み込み板を設置するなど、外部からの感染を防ぐ対策を取るしかない」とする。
実際、養鶏場は換気のため真冬でも外気を入れなければならない。管内の別の採卵農家は「各地での鳥インフル発生を聞き、出荷先からも飼育状況などの問い合わせが多くなっていた」とし、「今まで以上に人や車両の出入りに気を付けながら、衛生管理を徹底する」と気を引き締める。
クリスマスや年末を控えたこの時期は卵の需要期だが、今回の清水の養鶏場では約21万羽が殺処分されることに。採卵農家からは「品薄になる時期だが、急に生産を増やせるわけでもない」と今後の供給体制を心配する声も聞かれる。
■スーパー
管内のある大手食品スーパーでは、鶏卵パック販売全体の8~9割が今回発生した養鶏業者の卸す商品がメーン。担当バイヤーは「売られている卵は移動・出荷停止前のもの。保健所などからも問題ないと言われており、通常通り販売している。ただ、お客さまからの問い合わせもあり、その旨を掲示するPOPを全店に配布した」という。
さらに、「代替は6~7割程度確保できたが、全量は現時点でできていない。年末期だが、特売の回数を減らすなどの対応を検討しなければならないかもしれない」とした。
別のチェーンスーパーでは、一部の鶏卵を別の生産者に切り替えて予定量を確保した。「年末までは値決めしているので現価格のままで推移すると思うが、品不足などで年明けからは値上がりするかも。今後また発生しないとも限らないので影響が心配だ」(担当バイヤー)としている。
◆関係機関の高病原性鳥インフルエンザに関するサイト
・対策、相談窓口など各種情報(PDFリーフレットダウンロード)-十勝総合振興局公式ホームページ
・環境省からの高病原性鳥インフルエンザに関する情報-環境省公式ホームページ
・農林水産省からの鳥インフルエンザに関する情報-農林水産省公式ホームページ
・農研機構からの高病原性鳥インフルエンザに関する情報-農研機構公式ホームページ