管内唯一の女性除雪オペレーター、ネクスコ帯広の岸本さん 道東道の安全守る
担い手不足が深刻な除雪車のオペレーター。男性が多い中、ネクスコ・メンテナンス北海道帯広作業所の岸本初恵さん(57)は、道東自動車道で活躍する女性の除雪オペレーターだ。降雪期は、昼夜問わず緊急出動しなければならない過酷な業務だが、岸本さんは持ち前の明るさと使命感で仕事に向き合っている。(完戸雅美)
もともとミキサー車の運転手だった岸本さん。縁あって高速道路の維持管理を行う協力会社でアルバイトとして雇用された。40代後半になって、ネクスコ東日本のグループ会社、ネクスコ・メンテナンス北海道の社員として採用された。
維持管理の軽作業から始まり、先輩オペレーターが運転する除雪車の助手席に乗って除雪作業に関わっていくうちに、「自分もなりたい」と思いを募らせ、除雪車のオペレーターに。初めて除雪車を運転した時は「ただただ緊張しかなかった」と言う。
現在はネクスコ東日本帯広管理事務所が管理する夕張インターチェンジ(IC)-本別・足寄IC間の除雪を担当する。高速道路の除雪は4台の車両が連なって行い、前の車両が取りこぼした雪を後方の車両が拾っていくことで、道路上に雪の取り残しがないよう作業を進める。最初は前方から2台目で経験を積んだ。
担当区間は山間部を含む延長164キロと長く、日高山脈の東と西では積雪環境が大きく異なる。雪質や道路状況に応じてグレーダーの角度を調整しながら運転する技術が求められ、オペレーターとしての経験と感覚が試される。岸本さんも5年ほどの経験を通して技術を磨き、今では運転できない除雪車両はないほどのベテランになり、新人オペレーターの指導も行う。
ネクスコ東日本では、熟練オペレーターの高齢化や労働人口減少による担い手不足への対応で、同社が技術開発した「準天頂衛星システムを活用した除雪車自動化」の運用を今冬から開始。道央自動車道岩見沢IC-美唄IC間で2台導入し、除雪作業の省力化、効率化を進めている。
ただ、帯広管理事務所の管内で働く女性オペレーターは現在、岸本さん1人だけ。まだまだ女性が少ない業界ではあるが、「女性だからできないと思ったことはない」と岸本さん。「ご飯を食べる時間もないくらい忙しい場面もあるが、それは男性も女性も同じ。仕事の幅も広く、いろんなことを覚えられるから楽しい」と言う。
冬本番を迎え、除雪作業も本格化。「人目につかない作業も多く、なかなか分かりにくい仕事ではあるけれど、利用者の命を守る仕事だと誇りに思う」