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注目の道産種牛「勝早桜」、サシ優秀 道立畜試産

種牛としての活躍が期待される「勝早桜5」(ホルスタイン・マガジン社提供)

 【新得】道立総合研究機構(道総研)畜産試験場(新得町)が生産した和牛の種牛「勝早桜(かつはやざくら)5」が、道内の肉牛業界で注目されている。肥育成績を調べる「後代検定」で、サシ(脂肪)の入り具合や枝肉重量などで優秀な結果を示したことから、種付けする農家が増えている。道内の和牛繁殖農家はこれまで道外から精液を買うことが多く、目立った活躍が少なかった道産種牛で貴重な1頭として期待が広がっている。

 道内の和牛飼養頭数は鹿児島県、宮崎県に次いで全国3位。十勝では、生後10カ月程度まで育てた素(もと)牛を道外主要産地に売る繁殖農家が多い。池田町の繁殖農家・清水豊さんは「北海道では、種牛を自分の地域で確保するという意識が強くなかった。だが、“オラが種牛”がいなければ、全共(牛の質を競う全国大会)でも勝負にならない」と強調する。

 勝早桜5は2006年生まれ。父は種牛として全国的に有名な「平茂勝」の子の「勝忠平」。母親は胆振管内早来町(現安平町)の農家で活躍していた繁殖牛「なつ」で、同試験場が譲り受けて種牛生産に活用した。早来町の「早」の字が名前にも使われている。

 勝早桜の生産を初期から担当した同試験場家畜研究部肉牛グループの酒井稔史さんは「他県の精液を使う以上、優先的に回してもらえない場合もある。優秀な道産種牛が出てきた意義は大きい」と話す。

 肉牛は肥育に30カ月程度要するため、評価が出るのにも時間がかかる。勝早桜5の子を実際の肥育農家で幅広く育て、枝肉成績を調べる「後代検定」の結果が2012年から出始めており、枝肉の脂肪交雑(サシの入り)で上位2ランクに入る「上物率」は80%と高い。その他の産肉能力も平均値を上回った。

 後代検定の結果が良好だったことで、種付けする農家も増え始めた。ホクレン南北海道家畜市場(安平町)に今年5月、父が勝早桜5の素牛6頭が初めて上場され、父牛別の価格で最高値を記録した。17、18日のホクレン十勝地区家畜市場(音更町)にも初めて素牛13頭が上場され、池田町の清水さんも出品した。

 十勝和牛振興協議会の鈴木英博会長は「F1(和牛とホルスタインの交雑)に使っているが、高く売れている。和牛でも道内で使う生産者がどんどん増えている」と話す。今後は勝早桜5の娘が、繁殖牛として活躍するかも注目される。

 同試験場は現在は種牛の生産はしておらず、蓄積した技術を民間の一般社団法人ジェネティクス北海道(札幌市)に移譲、勝早桜5も同法人が所有している。17年間、種牛の生産に関わってきた酒井さんは「勝早桜は良い結果が出てきており、今後につながれば」と、最後に手掛けた種牛に道産和牛発展の夢を託している。(眞尾敦)


◆勝早桜5について
北海道黒毛和種基幹種雄牛「勝早桜5」-十勝毎日新聞電子版・最新農業情報2014(2014/05/01)
黒毛和種種雄牛動画(上から3段目右)-一般社団法人ジェネティクス北海道

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