道銀が農作物流通に参入 十勝産も取り扱い
【札幌】北海道銀行は4日、北海道農業企業化研究所(HAL財団、恵庭市)の流通開発事業を継承する地域商社「HAL GREEN」(ハルグリーン、同市)を設立し、7月から道産農産物の流通事業に参入すると発表した。十勝産の農産物も取り扱う。
北海道銀行は2009年にアグリビジネス推進室を設置。農業経営塾やビジネスマッチングなど、農業分野の事業に力を入れてきた。昨年は、食用油の生産などを手掛ける「OMEGAファーマーズ」(士別市)を設立している。
2年前から職員研修で交流があるHAL財団などと共同出資し、4月20日にハルグリーンを設立した。資本金は8300万円で、道銀の出資額は300万円。社員は26人、うち3人は道銀職員。社長には道銀コンサルティング営業部の中島英利特命担当部長(元音更支店長)が就任した。
HAL財団は2003年に設立。農家の企業化や、農産物生産工程管理の国際的な基準「グローバルGAP」(GGAP)の認証取得の支援などを行っている。実証実験の形で農薬使用量など独自の認証基準を設け、道産農産物に付加価値を付けて流通させる事業も展開。タマネギ、ジャガイモなど十勝を含む約150の生産者の農産物を取り扱っている。取扱高は15億~20億円。
ハルグリーンはHAL財団の流通事業を受け継ぎ、道産農産物の集出荷を担う。記者会見した道銀の笹原晶博頭取は「農業の川上から川下への流れに関わることができるようになった。道銀が持つネットワークやノウハウを生かしていきたい」と語った。HAL財団の磯田憲一理事長は「北海道の基幹産業である農業を力強く、道民が誇りとする産業にしていきたい」と述べた。(津田恭平)