菜の花オイルなど開発、十勝農工房
ナタネや亜麻を栽培する十勝管内の農業者らが6次産業化として設立した会社「十勝農(みのり)工房」(帯広市、佐藤健司社長)が、本格的な製品第1弾となる菜の花オイルなど4商品を開発し、20日に発売を始める。同社によると、農業者が作物を生産し、自ら油を搾って販売するのは管内で初めて。地元の畜産業者に搾りかすを飼料として提供する資源循環システムの構築も視野に入れる。佐藤代表は「農業の価値を知ってほしい。消費者と身近につながることができたら」と期待している。
同社は、ナタネや亜麻を栽培農家の佐藤社長(佐藤農場、音更町駒場)と小谷広一会長(コタニアグリ、更別村上更別)らが2013年に設立。本州向けに国産ナタネ油の原料などを生産していたが、農業情勢の変化などから直接消費者に届ける形を作りたいとの思いを強くし、6次産業化に踏み切った。
搾油工場は、昨年12月に佐藤農場敷地内に完成。熱を加えず、ナタネ本来の風味をしっかり味わうことができる低温圧搾製法を採用した。濾過(ろか)と精選にも丁寧に時間を掛けた菜の花オイルは、揚げ物にしても風味が軽やかという。
今回発売するのは、菜の花オイルとヨーロッパ品種のナタネ油「ラプソル」、亜麻仁オイル、亜麻シードの4商品。菜の花オイルは90グラム(500円)と180グラム(1000円)、450グラム(1500円)の3種類。ヨーロッパ品種のラプソルは90グラム(500円)と180グラム(1000円)。ナッツオイルのような香ばしさがあり、ケーキづくりなどにも使えるという。ホルモンバランスを整えるという亜麻仁オイルは90グラム2500円、亜麻シードは140グラム1500円。
ナタネは小麦や亜麻、大豆と同じコンバインで収穫でき、輪作体系も組み込める利点がある。搾りかすが本州で養殖ハマチの餌として活用されている例も知り、資源循環の仕組みを意識し、同社には肉牛生産の大野ファーム(芽室町、大野泰裕社長)や札幌の飼料会社なども加わっている。今後、地元の畜産業者に餌として還元するシステムを考えており、小谷会長は「社会のモデルになれば」と力を込める。
商品は藤丸の他、ナチュラルココ帯広本店(西10南1)、ハピオ木野、道の駅さらべつ、道の駅おとふけで扱う。原料を持ち込めば搾油委託も受け付ける。問い合わせは同社(0155・24・3316)へ。
(小寺泰介)