「木野産メロン」に挑戦 イチゴ栽培の辻野農園「おいしいをもっと届けたい」
【音更】音更町内でイチゴやブロッコリーなどを生産する辻野農園の辻野宏明さん(46)が、今シーズンからメロン栽培に挑戦している。もともと地域のスーパーや飲食店と関わりが深く、「おいしい作物をもっと消費者に届けたい」という思いから、新たにメロン4品種を作ることにした。糖度の上げ方など難しさはあるが、得意とするイチゴ栽培のノウハウを生かせる部分もあり、出来栄えは上々だという。(佐藤匡聡)
辻野農園は、甘みと酸味、風味のバランスがそろった品種「よつぼし」を、「とかち雫(しずく)いちご」のブランド名で販売する。農作業は春と秋が中心で、「合間の夏に、もう一本の柱となるような付加価値のある品目を導入したい」と考えていた頃、種苗会社のパンフレットに載るメロンに目が留まった。
「ミツバチによる受粉などイチゴ栽培と共通部分は多いが、周りにメロン農家は少なく、発送時に使う箱や売り先の確保など課題もあった」と辻野さん。過去に作っていた農家や普及センター、JA、帯広物産協会などに相談し、手探りながら始めることにした。
甘みの強い「ルピアレッド」と、しっかりした果肉の「ティアラ」、日持ちのよい「レノン」、果汁を多く含む「クインシー」の赤肉4品種を手掛けた。ルピアレッドとティアラは、後志管内共和町や富良野地方など北海道でなじみの種類だ。
3月後半から種まきし、育った苗を4月後半にハウス3棟へ定植。7月から収穫を進めている。8月末までに最大1500玉の生産を見込む。
「最後の味の乗せ方が難しい」と辻野さん。脇芽の処理や水を切るタイミングなどが鍵を握り、「我流を出すと失敗する。セオリー通りに作るのは野菜全般にいえるが、特にメロンは大切だと学んだ」。
作り始めの頃は、胆振管内安平町追分のアサヒメロンを食べて感動した。最近は、富良野に出向きながら産地の努力を肌で感じた。同じ舞台に立つことで初めて見えてくることは多く、トップランナーへの尊敬の念を改めて抱いた。
「挑戦にはいろいろな人の協力が必要。JA木野は、朝取りしたシャイニングコーンを真空予冷し、氷詰めで鮮度保持しながら府県に送るなど、おいしさをしっかり伝えるための産地づくりができている。そうした丁寧な産地づくりを通し、おいしいメロンを人々に届けたい」と話している。