勝毎電子版ジャーナル

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不登校乗り越えても不安ぬぐえず やりたいこと見つけたい

十勝eスポーツ 教育センター

「不透光」不登校だった子どもたちの心を照らすプロジェクト

不透光(11)

今もまだ、もがき続けている。
 第11回は、リョウガさん(19)に伺いました。

<リョウガ>
 中学2年の春頃から卒業までの間不登校を経験。現在は通信制高校の専攻科に所属。「自分は何が好きで何をしたいのか」が分からず、今も混乱している。


今までのリョウガさんについて
 -不登校だったのはいつ頃ですか?
 明確には覚えていないけど、たぶん中2の春頃から卒業までの間。中2の始めから夏ぐらいまでは学校に行けなくなっていて、それ以降はちょくちょく行ってはいました。

 -学校に行けなくなったきっかけは?
 中1とか小学生の時からもう「学校行きたくねえ」っていう気持ちがあった。中2では、その気持ちをこじらせちゃって。それに、学校の必要性を見出せない自分がいて。友人もいなかったし、勉強も全然できていなかった……。

 あと、イベントごとに強制で参加しなきゃいけないのが本当に嫌で、そういう嫌な気持ちが爆発したのも、学校に行けなくなった要因の一つかな。

学校に行かなかったときには、よく近所の公園に来ていた


 -不登校だった時、あなたから見た世界はどうなっていましたか?
 良い世界には見えてなかった。被害妄想も強くて、マイナス思考だったし。やっぱり苦しいって気持ちは強かった。

 -当時、周囲の人たちや世界に訴えたいことはありましたか?
 無いです。不登校になったのは自分の責任だし、いじめられていた訳でもないから。親は親なりに頑張ってくれていた。

 先生たちのことは、「頼ってもどうしようもない」と思っていたから、切り離して考えていた。先生にも学校にも期待していなかった。

 -不登校の時のあなたに言ってあげたい言葉は?
 当時の自分に対してはめちゃくちゃ腹が立っています。くだらないことで訳の分からない不登校をして、進路についても全く考えてなかったし、目標もなかった。ただ、よく分からないまま一日が過ぎるだけの生活を繰り返していた。

 もう少し考えて行動していれば、今もうちょっとちゃんと生きていたんじゃないかなって。だから「もうちょっと考えろ」って言いたい。

中学生の時にやっていたゲーム機 好きだったわけではないけど、多分一番時間を使った


今のリョウガさんについて
 -他者にしてほしいことはありますか?
 無いですね。他人がどうこうしようと、自分が何かをしなければ何も変わらない。他人の言葉がきっかけにはなるかもしれないけれど、行動に移すかどうかは結局自分次第だから。

 -これからどうしていきたい/どうなりたいですか?
 今は、めちゃくちゃ不安なんです。何もできていないし、ずっと消化不良みたいなのが起きているし。明確に「自分はこれをやっているんだぞ!」って自信を持てない。

 だから、もう楽しみとかは要らないので、ただ自分のやれること、やりたいことを明確にして、そこに向けて努力していけるように行動していきたいです。

「暇」について知りたくなり、読んでハマった本。まだ途中だがいろいろな視点から暇と退屈を見て、気付かされることがある


【取材を終えて】
 リョウガさんは、「自分は何が好きで何をしたいのか」が分からず、宙ぶらりんのような状態にあるようです。私は、連載「不透光」の話し手たちの言葉から、リョウガさんを導いてくれるヒントを探してみました。

 インタビューの初回、KPさんは、「(悩んだ時には)周りの人に相談してみたり、悩む自分にもプラスのイメージで優しい言葉をかけてあげたりして」と話していました。周りの力は必要不可欠だと思います。

 リョウガさんが「他人の言葉が“きっかけ”にはなるかもしれないけど、行動に移すかどうかは結局自分次第」というなら、そのきっかけに出会えるまでいろいろな人の話を聞いていくべきなのではないかと思います。

 不安を軽くするためには、行動あるのみだと思います。第8回でRさんは、自身が不登校から抜け出せたきっかけを「自分に自信を持てたから」と答えていました。「学校に行くのがベストなのは分かっているんだけど、それは自分にとっては難しいから、代わりに頑張れることを探そうと思った。(中略)頑張った結果が、今の自信と楽しい生活につながっています」と。また、第4回ではカルハさんが、当時の自分に言いたいことは「やれるところまでやってみろ」と話していました。不安の払しょくには、自分にできる範囲のことを、やれるところまでやってみることが大切でしょう。

リョウガさんは不安な時、自室の椅子に座っている事が多いという


 やれること・やりたいことを明確にするには、改めて自己分析することが必要だと思います。第2回で白モフのフモさんは不登校から抜け出せたきっかけを、「自問自答を繰り返し、自分を見つめ直したから」と答えていました。こうたろうさん(第7回)やせいじさん(第10回)も同様の話をしています。脳内であれこれ思考を張り巡らせるだけでなく、書いて目に見える形にすることで、きっと考えを整理できるはずです。

 不登校を経験した〝話し手〟たちの言葉の中には、変わりたいと願う人の背中を押す力があると感じました。リョウガさんも皆さんも、これまでの記事をきっかけにして、少しずつでもなりたい自分になっていってほしいと思います。(晴木マモル)

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