80~90年代の藤丸再現 春さんMV撮影 懐かしの制服も借り受け
近く解体される旧藤丸百貨店内で16日、十勝出身のシンガー・ソングライター春さん(18)=札幌在住=のミュージックビデオ(MV)撮影が行われた。楽曲「ぎょうざ」のテーマである「記憶」をキーワードに、にぎわっていた1980~90年代の藤丸を再現した設定で、撮影空間にしばし往年の活気が戻った。(佐藤いづみ)
春さんは2023年から自身で楽曲を手掛け、現在十数曲を創作。今春から札幌に拠点を移し、ライブ活動などを展開している。藤丸でのMV撮影は、「ぎょうざ」も収録された5月リリースのファーストミニアルバムの発信のほか、「地域に長く親しまれた藤丸の最後の姿を残したかった」(春さん)と企画した。
短編映画「馬橇(ばそり)の花嫁」などでメガホンを取った、帯広在住の映像作家逢坂芳郎さん(45)が監督を引き受けた。十勝在住の劇団員や学生らがエキストラで協力した。活気があった1980~90年代の藤丸内に、現代の春さんが暮らしている設定。藤丸側からエレベーターガールや店員の制服を借り受けたほか、帯広の美容師長岡行子さんらが当時風のヘアメークを施した。
来店客でにぎわう化粧品売り場や、7階ホールを現在の春さんと当時の女性客が行き交うシーンなどを撮影した。春さんは「皆さんの協力で貴重な経験ができた。作品を通じ藤丸の記憶を感じてほしい」と笑顔。逢坂さんも「若い春さんの熱い思いに加え、最後の藤丸の記録に関わりたいと協力を決めた。いい作品に仕上げたい」と話した。
撮影は17日も行われた。MV制作はクラウドファンディングで協力を呼び掛けており、MVは9月にもユーチューブなどで配信予定。詳細は春さんのSNSなどで発信していく。
藤丸は2023年1月末に122年の歴史に幕を閉じた。新会社・藤丸株式会社(帯広市)が同所での再整備を計画、現ビルの解体が決定している。
にぎわう藤丸再現、春さんMV撮影 懐かしの制服も借り受け
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