モール温泉、湯船に届けます ふく井ホテルが福祉施設や個人宅への宅配事業を開始
JR帯広駅前でホテルを経営するふく井ホテル(帯広、林佑太代表)は、自社のモール温泉を福祉施設や個人宅の浴槽に直接届ける温泉宅配サービスを始める。同様の内容で事業化した例はあるが、十勝全域に対応するサービスは管内では珍しい。
JR帯広駅前で唯一、自家源泉を持つ同ホテルは、今年7月から管内各地のイベントや福祉施設などに出向いて「移動式天然モール足湯」を展開している。気軽に外出できない人にも足湯を通して温泉を楽しんでもらおうと始まった取り組みだが、北斗病院(帯広)を訪れた際に高齢者らの乾燥などによる肌疾患を知り、入浴までできる温泉宅配を考えた。
同サービスは、同社の源泉をタンクなどに入れて車で運び、給水ポンプとホースで直接浴槽に届けるというもの。源泉は45~50度で、加温の必要もないという。
現在、配送オペレーションの確認のため実証を重ねており、10月30日には帯広北高校サッカー部の寮に計500リットル(浴槽2杯分)を宅配。寮生らが交代でモール温泉を楽しみ、練習の疲れを癒やした。2年の東谷翔さん(16)は「お湯をためるのが面倒でいつもシャワー。たまにみんなで近くの温泉に行くこともあるが、練習から帰ってきて自分の部屋で簡単に温泉に入れるのはとても良い。芯から温まって癒やされる」と話していた。
配送料込みで1浴槽分(200リットル)1万円から。十勝管内の老人ホームやデイサービス、下宿や個人宅への配送に対応する考えで、年内のサービス開始を目指す。
事業開発部長の小松勇斗さん(26)は「温泉に行けない人へのギフトとしても使ってもらえるサービス。この取り組みを通して、温泉に入れるということを非日常から日常にしたい」と話している。(児玉未知佳)