帯畜大の木原さん、ガーナの貧困解消に向けクラウドファンディング
帯広畜産大学3年の木原淳兵さん(20)は、貧困に苦しむアフリカ・ガーナ北部の農家を支援する活動に取り組んでいる。小規模農家にジャガイモの栽培を普及させ、付加価値を付けて都市部へ販売することで格差解消を目指す。来年4月から1年間、大学を休学して現地でのプロジェクトをスタートさせる。8日から活動資金を募るクラウドファンディングに取り組んでいる。(大谷健人)
同大ボランティアサークル「とことこあるこう」の代表を務める。福岡県出身で、高校時代に九州北部豪雨でのボランティアをきっかけに、誰かの役に立つための活動に取り組むように。「世界の食糧問題・貧困問題を解決する」という志を持つ。
同大の留学生でJICA研修員でもあるガーナ出身のティジャニさんと出会い、ガーナの農家が貧困に苦しむ様子を知った。ガーナでの活動を検討し始め、とかち財団(金山紀久理事長)の「学生起業家育成奨学金」を受け、今年8月にガーナ現地を視察した。そこで目にしたのは、小規模農家らが抱える想像以上の窮状だった。
ガーナは熱帯雨林気候の南部では、チョコレートの原料となるカカオの栽培が盛んだ。一方、サバンナ気候の北部では、主食のトウモロコシやコメなどが栽培されているが、干ばつが激しく、1日1回のみの食事で子どもが栄養失調で苦しむ姿などを目にした。さらに世界的な物価高騰が貧困層を直撃。乾いた農地に与える肥料も十分に買えなくなっており、格差が広がり続けているという。
農業面では植え付けの間隔といった基本的な栽培方法も体系的に伝わっていなかった。ただ、簡単な営農指導や適切な施肥のための土壌診断で、大きな収量向上を見込めることに可能性を感じたという。
現地でジャガイモ栽培の普及に取り組むのは、同大教授らのアドバイスにも後押しされた。ジャガイモは干ばつに強く栄養価が高い上に、貯蔵しやすいという特長がある。さらに、カカオやシアバターのような嗜好(しこう)品ではない。
ガーナ北部ではヤムイモやキャッサバが栽培され、食されているが、ジャガイモは都市部の富裕層を除いてなじみがない。ただ、ジャガイモ栽培が成功すれば、生産者自身の食料となるばかりか、都市部の富裕層向けに販売し、生産者の収入増も見込めるという。
木原さんは、今年12月にも再びガーナを訪れ、現地のマーケットやジャガイモの栽培調査を行う予定。
CFの初期目標額は80万円で、最終的には300万円程度の活動資金の調達を目指す。木原さんは「十勝の農業力を生かしてアフリカを貧困から救えたら」と意欲をみせている。
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