営農型発電で実証研究 帯畜大圃場に太陽光パネル 北海道自然電力と協定
帯広畜産大学(長澤秀行学長)と北海道自然電力(本社札幌、瀧口直人社長)は、来年5月をめどに帯畜大の圃場(ほじょう)に垂直型の太陽光パネルを設置し、営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)の実証研究を行う。農作物や景観に与える影響などを検証する。20日、十勝におけるカーボンニュートラルの実現と持続的な発展に向けて連携協定を締結した。
北海道自然電力は、道内自治体などの脱炭素と設備導入について計画策定を支援している。今年1月からは、親会社の自然電力(福岡市)が酪農学園大学(江別市)でソーラーシェアリングの実証実験を行っている。畑上部ではなく地面と垂直に太陽光パネルを設置することで、作物の生育と景観、発電を効率的に共存させることを目指す。
帯畜大では、敷地南側の約10ヘクタールの圃場に、垂直型太陽光パネルを設置する。高さ4メートル、1列の長さ260メートルを5列程度並べる予定。同社系列によるソーラーシェアリング実証実験は道内2例目で「国内最大級の規模」(瀧口社長)となる。
生産作物の選定にはJAおびひろ川西も協力し、小豆や小麦を栽培する。生育や景観への影響を研究し、防風や防雪などへの効果も試験する。
長澤学長と瀧口社長は帯畜大で20日、記者会見に臨んだ。長澤学長は「農業や食は、ゼロカーボンなど環境に配慮しながら取り組まなければいけない。単なる共同研究に終わらず、将来を見据えて一緒に進めていきたい」と話した。
瀧口社長は「十勝帯広の日射量は国内屈指だが、大事な食料基地でもあるため黒いパネルで覆い尽くすことなど絶対にできない。十勝晴れを生かし、エネルギーという新たな産物を生み出せれば」と意義を強調した。(細谷敦生)