物価高でも安いランチ 一つの定食に絞り材料を無駄なく
小麦や食用油などの食料品から電気代などの燃料費まで、幅広く価格が上昇する中、管内の飲食店でも利益の確保が難しくなり、値上げに踏み切ったり、値上げを検討したりする店も多い。一方、価格を維持しようとメニュー数を絞って対応する店もある。(吉原慧)
帯広市内の「お食事処 北の勝」(上野顕司店主)では6年前から、メニューを500円の「日替わり定食」のみとし、1日100食限定で昼から夜にかけ営業している。内容はヒレカツや肉野菜炒め、ハンバーグなどさまざまで、「ボリューム満点が特徴」と上野店主。複数の定食を提供すると「材料の無駄」が出やすく、上野店主は「200~300円ほど価格を抑えられる」と話す。
この1、2年、完売する時間が早まっており、「以前から、利益は薄いが100食が安定的に売れていた。最近では午後6時ごろに完売する日もある」と説明。食材選びなどで価格を維持している。
市内中心部の洋食店「Dining & Wine Anna Anna(アンナ アンナ)」(西1南10、下川泉巳店主)も、ランチメニューを「日替わり定食」一つに限る。十勝産食材を多く使用し、本格的な肉料理などのメインディッシュにスープ、サラダ、ご飯、コーヒーがセットで700円。
「夜の営業で余った食材を活用することができ、無駄がなくなる。日替わりなので値上がりした食材の使用頻度を下げることも容易」と、無駄のない食材活用と融通の利く日替わりメニューで安価での提供を実現した。
食材の値上がりも激しいが、「材料費の高いメインディッシュの日は、高い食材と高くない食材であえてメインディッシュを2種類作る。手間は増えるが、材料費のコストは減らせ、複数の味を食べられる客の満足度も保てる」と話し、味にこだわりながら、通いやすい価格を続けている。