拓殖バス観光農園参入 新得で原木シイタケ栽培
北海道拓殖バス(音更町、中木基博社長)は、新得町拓鉄の新得営業所敷地内に、原木シイタケ栽培を中心とした観光農園「拓鉄キノコタン」を9月にオープンさせる。同社が異業種に参入するのは初めてで、拓殖鉄道(1968年廃線)の資料展示も予定。同社は「鉄道が走っていた頃のように、人が集う場所にしていきたい」としている。
同営業所敷地は、同社前身の「北海道拓殖鉄道」の南新得駅や車庫、社員寮などの敷地として活用していたが、現在は遊休地となっている。3万平方メートルある広大な遊休地の利活用を模索した同社は、引退した運転手の雇用の場の確保、地域の魅力発信、相乗的な収益確保を目的に、原木シイタケの栽培と観光農園事業に乗り出す。
原木は地元の山林から間伐したミズナラを利用。昨年4月に約2000本(長さ90センチ)に菌打ちを行っており、今年は4000本を追加する予定だ。農園内では収穫体験ができるほか、直売所を開設し、収穫したシイタケを販売。また、駅舎の事務所だった建物を利用し、拓殖鉄道で使っていた機材、当時の写真などを展示することも計画している。
中木社長は「新得は道の駅開設など観光地としての機運も高まっている。一方で、鉄道の歴史は風化が進み、知っている人も少なくなってしまった。交通の要所でもある新得で、歴史を風化させず、地域活性化に寄与していきたい」と話している。(完戸雅美)