帯畜大の上村准教授 小動物外科の専門医に 道内3人目 全国14人
帯広畜産大学動物医療センターの獣医師で准教授の上村暁子さん(45)が、日本小動物外科専門医協会(JCVS)による日本小動物外科専門医に認定された。500例以上の手術実績などの臨床研修や、試験などをクリアした同専門医は道内3人目、十勝では初めて。全国では上村さんを含め14人(うち3人が国外在住)のみ。犬や猫などに高度医療を提供する「最後のとりで」になるとともに、十勝の動物医療レベルアップへ中心的な役割も期待される。
上村さんは1976年東京都生まれ。幼い頃から犬や猫などの動物が好きで獣医を志した。日本獣医畜産大(現日本獣医生命科学大)を卒業後、東京農工大で獣医師として勤務。専門は犬猫の循環器と軟部外科で、同大ではJCVSの専門医の下で、同専門医の認定条件である500症例以上の手術(避妊や去勢などを除く)で執刀したほか、英語論文発表などの研さんを重ねてプログラムを修了した。
帯広畜産大には昨年6月に着任。同11月に試験を受けて見事合格し、専門医に認定された。
近年は犬や猫をはじめとするペットを「家族」として扱うことが一般的になり、難しい病気などを患ったペットに高度医療の提供を望むケースも多い。このため、一般的な動物病院のように広範囲の動物を取り扱う獣医とともに、高度な技術や知識を持ち、難しい症例に対応できる専門医の需要が高まっている。
上村さんは「高度な医療を提供するには執刀する獣医だけでなく、動物看護師や獣医麻酔科医などチーム医療が重要になるほか、大学の施設や機材など環境整備も大切」と指摘する。今後、認定医を目指す獣医や学生の指導的立場として人材育成にも期待がかけられており、「下の世代の人たちに恩返しができたら」と話す。(大谷健人)
<JCVSと専門医認定制度>
JCVS(日本小動物外科専門医協会)は小動物外科学の専門医の資格審査、育成、小動物外科学分野の研究促進、教育、卒後教育プログラムを指導・確立することなどを目的とした組織。専門医となるには、2年間以上の小動物一般臨床研修の後、専門医の指導の下で小動物外科臨床について3~6年間の「小動物外科レジデントプログラム」を修了し、修了者が受験できる「小動物外科専門医認定試験」への合格が必要。