見た目より味で勝負 帯広市場が「砂エビ」の取り扱い開始
帯広地方卸売市場(高橋正行社長)は大樹漁協の協力を受け、シシャモ漁で混獲される「砂エビ」の取り扱いを新たに始めた。濃厚な風味が特徴の砂エビは、見た目などから同市場で流通していなかった。11月中旬までの限定品で、スーパーなど取引先からの反応は上々だ。
砂エビの正式名は「アムールエビジャコ」。体長は3~5センチと小さく、色は黒っぽい。加熱しても赤くならないが、うま味が強く、素揚げやみそ汁などにするとおいしい。シシャモ漁で一緒に網にかかる。漁業者が持ち帰る程度で、一般に販売されていない。
同市場では地場産の取り扱い拡大に力を入れており、管内漁協などと懇談する中、大樹漁協の協力を取り付けた。同漁協の佐藤亨事業部長は「近年シシャモは不漁続き。今年も平年の7割程度の水揚げ。未利用品に価値を見いだしてくれることは漁業者の収入確保につながる」と感謝する。
27日から取り扱いを開始し、2日間で入荷した約200キロ分が完売した。同市場の石井孝知水産部主幹は「スーパーや業務卸など幅広く購入してくれた」とする。福原は「ぴあざフクハラ西帯広店」など6店で、1パック300円前後(約300グラム入り)で販売。担当者は「通常のエビより安値。地場の旬の品なので入荷した際にはまた仕入れたい」と語る。
砂エビの取り扱いはシシャモ漁の終了まで。石井主幹は「食べられなかったのがもったいないほどのうま味。サケやサンマなど主力品が不漁で苦戦する中、今後も地場のいいものを発掘したい」と話していた。
アムールエビジャコは広尾漁協青年部も「広尾えびじゃこ」の愛称で消費拡大に取り組んでいる。(佐藤いづみ)