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乳製品発展の歴史 本に 帯畜大平田教授も執筆

「近代日本の乳食文化」を手にする平田教授。日本で乳製品がどう受け入れられ、定着してきたかが多角的に書かれている

 日本の乳食文化をさまざまな角度から概述した「近代日本の乳食文化-その経緯と定着-(明治150年記念論集)」(中央法規出版)が出版された。乳食文化が日本にどのように入り定着してきたかを、帯広畜産大学の平田昌弘教授(53)=文化人類学、牧野生態学=ら12人が多角的な観点から執筆した。平田教授は「乳製品の消費拡大は酪農家の安心につながる。研究が商品開発に貢献できるように努めたい」と話す。

 同書は平田教授、江原絢子(あやこ)氏(東京家政学院大名誉教授)、和仁皓明(わに・こうめい)氏(西日本食文化研究会主宰)が編著し、一般社団法人Jミルクが企画編集した。乳食文化を生産や利用状況から説明するだけでなく、日本での乳製品の定着や発展についてを「学校給食」や「チーズ」などといった観点から書いている。

 平田教授は1993~96年、シリアの国際乾燥地農業研究センターに準研究員(青年海外協力隊員)として派遣され、植生調査と牧畜研究に従事。以後20年以上にわたり、牧畜と乳文化を調査・研究してきた。同書では「アフロ・ユーラシア大陸における日本乳文化の位置」をテーマに、乳文化圏の乾燥地帯における乳文化の必要性や日本の未来像を記述。それぞれの立場から問うことで、日本的な特徴を浮き彫りにした。

 「乳製品が本格的に入ったのは明治期に入ってから。風呂の後に牛乳を飲んだり、料理にチーズをかけたりと徐々に日本人の生活に入ってきた」と平田教授。本著に続く本の出版も見据え、「企業などにも日本の乳食文化の特徴を伝え、商品開発につなげてもらえれば」と話す。A5判、450ページ。4620円。

 平田教授はほかに、2013年に刊行した著書「ユーラシア乳文化論」の英訳本を出版。20年にわたるユーラシア大陸各地でのフィールドワークと文献調査で、家畜管理や搾乳などを幅広く分析した。また、「チベット牧畜文化辞典」(非売品)をチベット研究者らと共に出版。定住化に伴い失われつつある牧畜言語を、記録のあるチベットのアムド地方に特化して辞書にした。(松田亜弓)

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