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帯広の飲食店などで新型コロナ閉店相次ぐ「心が折れた」

ひっそりした店内で開店以来の常連客と話をする優子さん(右)。手作りお通しが売りだったが、今は出していない(3日夜)

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、帯広市内でも「コロナ廃業」に追い込まれる小規模飲食店が相次いでいる。道の緊急事態宣言(2月28日~3月19日)以後、一気に広がった外出自粛対応によって激減する売り上げ、見えぬ終息への不安に、経営者からは「心が折れた」との声も聞かれる。「今後も閉店する店が増える」と指摘する関係者は多い。

生きがい失う
 「店は生きがい。自身の健康のため(新型)コロナ(ウイルス)がなければ、80歳過ぎても続けたと思う。見えない『敵』に太刀打ちできなかった」

 帯広市大通南11のさくら館ビル内で「スナック誘呼(ゆうこ)」を経営する上野優子さん(69)は、常連の女性客1人しかいない店内で、吹っ切ったように話した。4月末で36年営業した店を閉めると決断した。

 2児を抱えシングルマザーとなり、十勝支庁(現十勝総合振興局)でのパート勤めを辞めて開店して以来、気さくな人柄や手作りお通しなどが人気で、30人以上が入る店はピーク時には一晩で何回転もするほど繁盛した。近年は客足が減少し1人で切り盛りするが、例年3、4月は歓送迎会の団体予約でびっしりだった。

 だが、今年は違った。道の宣言後、客足はぴたっと止まった。3月12日まで約2週間休業し営業を再開したが、状況は変わらなかった。「公務員のお客さんが多く、外出しにくい状況だったのでは」と理解を示す。閉店に迷いはなく、「お金ではない。先が見えず、心が折れた」と話した。

赤字増えるだけ
 市内の韓国・東南アジア料理店「ターミナルレストラン」は3月29日で閉店した。福祉業界から転身した大西秀俊代表(51)が、今年1月に開店したばかり。固定客もいない中、道の宣言後、客数ゼロの日が続く中、苦渋の決断だった。「融資を受けて店を続けるか悩んだが、先が見通せず、リスクが高すぎる。たとえコロナが収まっても、今後の景気を考えると継続は難しい」と肩を落とす。

 市内電信通沿いにあったほうとう専門店「図無志亭」も3月22日、約7年間の営業に幕を下ろした。戸谷昌実店主(48)は、昨秋の消費増税で外食客が減少していたところに新型コロナの流行で、売り上げがピーク時の3~4割減少。「ずるずるやっても赤字が増えるばかり。個人での営業なので一日の売り上げにも限度があり、早めに決断した」と打ち明けた。

 市内有数の飲食店ビル「5番館ビル」振興会の一宮綾子会長によると、3月以降、全体の来店客が前年比半分以下のイメージで3割以下に落ちた店もあるという。「休業補償もはっきりせず、今は不安しかない。ビル内で閉店したという話は聞いていない。行政機関に一刻も早い終息と、感染防止対策を望んでいる」と話している。(佐藤いづみ、沖田唯可)

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