芽室で農福連携スタート 施設利用者がカボチャ収穫
【芽室】障害者が地域農業の生産現場で仕事に就く「農福連携」の試みが10日、町内で始まった。JAめむろと町役場がつなぎ役を担い、社会福祉法人柏の里めむろが運営する障害福祉サービス事業所「オークル」と農家とのマッチングを進める。高齢化や人手不足に悩む農家と、施設外就労の機会に恵まれない障害者の双方にメリットがあり、地域課題の解決策の一つとして注目される。
JAめむろ労働支援対策課は、組合員の農家に無料でアルバイトの人材派遣を紹介する事業を行ってきたが、今年度は人手不足から断らざるを得ない状況にあるという。町南瓜生産組合(早苗俊昭組合長、107人)の生産現場から「作付面積を増やしたいが人手が足りず難しい」と相談を受けたことが契機になり、町農林課・保健福祉課と協力して労働力確保の一助になる取り組みを検討してきた。今回初めて、オークル利用者が有償で、カボチャを生産する農家3軒の収穫作業を手伝うことになった。
初日の10日、西士狩北6線にある長瀬和宏さん(43)の畑では知的障害のある利用者9人が汗を流し、茎から切り離されていたカボチャが次々と大型コンテナに運び込まれた。1ヘクタール分約13トンを収め、利用者の田中輝幸さん(44)は「外での作業は気持ちがいい。またやりたい」と笑顔を見せていた。
3カ所計28ヘクタールの畑を所有する長瀬さんは、カボチャや小麦、ジャガイモなど約10種類を育てているが、他に作業を担うのは高齢の両親と妻の3人。「機械を使わない手作業が求められるカボチャやスイートコーンなどの収穫は、絶対的に人手が足りない」と話す。
その上で、「仕事を選別し、工夫して指導すれば、障害者にもできることは多くある」と強調。JAめむろ労働支援対策課の白幡朋嗣課長も「他の野菜の収穫や春の播種作業など、広く農作業ができる環境づくりを目指したい」とする。
社会福祉法人柏の里めむろでは、来春にも町内で障害者グループホームを開設する予定があり、オークルの成田一也管理者は「親亡き後の働く場も必要。さまざまなことにチャレンジし、できることを増やしていけたら」と期待している。
町保健福祉課の有澤勝昭課長は、今後の課題について「農福連携の輪を広めるために、民間に障害者の能力をもっと知ってもらう必要がある」と話していた。(小寺泰介)