パワハラ防止、漫画で理解 帯広市が職員向けに作成
帯広市は、市職員向けに漫画のパワーハラスメント(パワハラ)防止教材を作成し、全職員にデータで配布した。研修教材として漫画を用いたのは初めて。気軽に読んでもらうことでパワハラに関する理解を促進し、職場環境の向上につなげる。(津田恭平)
パワハラ防止に向けては、これまでマニュアル作成のほか、新規採用職員や新任係長職などを対象に研修を実施してきた。今回、全庁的にパワハラの定義や種類を理解し、パワハラがもたらす影響や被害の重大性を認識してもらおうと漫画作成を企画した。
「パーソルイノベーション」(東京)の漫画による研修サービス「コミックラーニング」を活用。上司と部下の双方の視点を折り込み、市オリジナルの18ページの漫画を作った。
市役所で働く係長の男性が上司の課長から「こんな簡単な仕事でなにミスしてやがる」などと怒鳴られたり、午後までに作成を指示した資料づくりを自分のミスでできなかった部下に、昼休みを遅らせて作成するように頼んだことがパワハラと訴えられたりする。
それに対し、別の職員が課長にパワハラになりかねないと指摘し、部下には係長の指示はパワハラには当たらず、自身が職務命令違反になる可能性があると説明。課長と部下がパワハラについて理解し、職場環境の改善につながるというストーリーとなっている。
パワハラの具体例を解説したほか、職員に自分事ととらえてもらえるよう、市役所の執務スペースや会議室などをイメージしたイラストとするなど工夫を施した。作成費は約150万円。
市人事課は「漫画だと読んでもらえる機会が増える。そうすると内容の理解も進み、職場環境が良くなっていく」としている。
市役所内ではハラスメントに関する相談は毎年あるが、認定された事例はない。