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母牛の遠隔監視システム導入 士幌高校

牛の体温を測るセンサーの使い方などを確認する生徒

 【士幌】士幌高校(近江勉校長)がICT(情報通信技術)導入に力を入れている。今年度は畜産部門も強化し、第一弾として母牛の遠隔監視システム「モバイル牛温恵(ぎゅうおんけい)」を導入した。母牛を温度センサーで監視し、分娩(ぶんべん)時間をメールで知らせる機器で、最先端の技術を駆使した実習などを通じて生徒の学習意欲を引き出したい考えだ。

 牛温恵は、動物用医療機器製造販売の「リモート」(大分県)が開発。同社によると、全国約2200の牧場で使われ、全国の高校でも導入が進むが道内の高校では初めて。宇都宮茂夫社長(67)は「人間の感覚を見える化し、安全な分娩が可能になった」と話す。

 出産を間近に控えた母牛は体温が一時的に低下する。そこで窒内に体温センサー付きの機材を挿入。センサーが5分ごとにデータを自動計測する。分娩の兆候が表れると、予測メールでスマホなどに知らせる。破水した場合でも緊急メールが送られるため牛舎に駆け付けることができる。

 士幌高では、飼育する乳牛11頭のうち1頭が6月初めごろの出産を予定している。5月29日には同校畜産専攻班の生徒たちが授業で機器の使い方などを確認した。前多涼介さん(2年)は「出産前の牛の体の変化がデータで見られるのは勉強になる」と話した。

 これまでは乳房の張り方や陰部の緩み具合などで、分娩の兆候を判断するしかなかった。牛は夜に出産することも多く、昼夜を問わず牛舎を見回らなければならなかった。

 センサーがあれば24時間体制の監視が不要になり、山下美登里教諭は「肉体的、精神的な負担軽減や教育の質確保につながる」と期待を寄せる。

 士幌高では今後も、牛の個体情報や体調変化を把握できるファームノート(帯広)の機器の導入や、牛に全地球測位システム(GPS)装置を取り付けて動きを追跡する実験などを予定している。農業分野ではすでにビニールハウスの開閉作業を自動で行うシステムなどを取り入れている。(安倍諒)

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