町村初の看護複合福祉施設スタート 広尾
【広尾】5月にオープンした介護施設「ケアハウス グランパラン HIROO」(広尾町丸山通北4)が今月、十勝の町村では初めての「看護小規模多機能型居宅介護施設(通称かんたき)」となった。看護師5人体制で医療的なケアや訪問看護を行い、施設への通い、短期滞在を組み合わせ、高齢化する地域社会を支えるサービスを充実させる。
かんたきは、看護を含めた複合的な介護を受けられる。広尾の同施設は同名の運営会社を所在地に設立し、矢木唯さん(28)が社長を務める。帯広市在住の矢木さんは、2011年から母で看護師の奈緒美さんと訪問入浴介護事業所「ケアハウス グランドペアレント」(帯広)を運営している。
広尾での施設新設のきっかけとなったのは、管理者を務める町内の看護師土屋絢子さん(40)との出会い。9月まで町立国保病院に勤務した土屋さんは、担当していた訪問看護に地域のニーズを感じ充実させたいと考えていたが、これまではかなわなかった。
訪問介護で町を訪れていた矢木さん親子と知り合い、「一緒にやろう」と呼び掛けたところ、訪問看護の必要性で一致。5月に木造平屋約1100平方メートルの新施設を稼働させた。
施設の開設後も土屋さんは町立病院で働き続けながら、訪問看護の利用者を引き継ぎ、他の医療機関の患者にも対応できるよう準備を進めた。10月から介護職員15人に加え、土屋さんを含め看護師5人体制に。訪問看護、デイサービス(通所)、ショートステイを同じ職員が担当するため、土屋さんは「利用者の状態に合わせて対応でき、安心して利用しやすいのでは」と話す。
土屋さんによると、町内には希望する施設への入居待ちや長期入院の人もいる中、訪問看護で在宅での「みとり」ができる可能性もある。「これなら家で最期までみられると、家族が思える場合もある。利用者さんや家族にとって選択肢が増える」という。
併設する訪問看護ステーションは、「地域の懸け橋に」との思いを込めて「にじ」と名付けた。土屋さんは「医療的な相談も気軽にしてほしい」とし、矢木さんは「訪問入浴も知られていなかったが、だんだんと認知されてきた。訪問看護もこれから町内で知ってもらえれば」と話している。
(眞尾敦)
看護師、介護職員がおり、「通い」「泊まり」「訪問看護」などのサービスを一体化したケアを行う。終末期や認知症など医療支援が必要な利用者にも対応する。十勝総合振興局によると、管内では帯広市内に3カ所ある。