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停電被害6000万円以上 帯畜大 精密機器や研究試料損失

大規模停電時の対策が求められている帯広畜産大学

 胆振東部地震による大規模停電の影響で、帯広畜産大学(奥田潔学長)では研究用精密機器の故障などによる損失が約6000万円に上った。さらに凍結保存していた研究試料の一部も被害を受け、研究が滞る可能性があり、「金額に換算できないが大きな損失」とする。想定外だった今回の事態を教訓に、貴重な研究試料は他機関にも分散保管するなどの対策を進める考え。

 多様な研究施設がある帯畜大の電気使用量は多く、2017年9月の料金は約1100万円だった。地震による9月6日未明からの停電は、翌7日午後11時ごろに一部で復旧したが、完全復旧したのは8日朝だった。1台あった自家発電機は給水用に活用し、研究施設に電力供給はできなかった。発電機数台を外部調達したが、停電発生から時間がたっていた。

 2日間の停電の影響で、超高性能顕微鏡や超低温フリーザーなど研究関連機器が故障した。被害額は概算で約6000万円。このほか、凍結保存していた菌株が溶けて死に、研究用の動植物も温度管理ができないなどの理由で使えなくなった。凍結保存が必要な数百万円の試薬は劣化し、時間をかけて整備した実験試料も廃棄処分となった。

 北電は今回、医療や公共機関などの電力復旧を優先したが、研究機関は後回しとなった。ある研究者は「人命に直接関わる問題ではないが、長い目で見ると大きな損失」とため息を漏らす。

 大規模停電対策が求められるが、大量の電力を使用するため、井上昇理事・副学長(50)は「自家発電機の増設は、燃料備蓄の問題を含め難しい」との認識を示す。

 有効な対策として、研究試料の分散管理を挙げる。実験動植物や細胞、遺伝子などのバイオリソースは、バックアップのため、同一試料をバイオバンクや共同研究施設などに保管する研究者もいる。帯畜大はこの取り組みが遅れているとし、井上理事は「危機管理のため、組織として利用を呼び掛けたい」と話す。

 また、適正温度の調整は難しいが、電気不要の液体窒素による凍結も停電時には有効となる。外部からの非常電源が活用できる場合には、どの研究施設に電力を優先供給するかも検討する。(池谷智仁)

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  • 大規模停電時対策の必要性を語る井上理事・副学長

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