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郷土史研究家小助川さんが図書館に本寄贈

寄贈した書籍・資料が並ぶ町図書館内の「小助川文庫」と小助川さん

 【幕別】アイヌ研究で功績を残した町内の郷土史研究家小助川勝義さん(73)=札内あかしや町=が9月に、健康上や家庭の事情で札幌に転居することになった。町図書館では小助川さんから書籍や資料の寄贈を受け、功績を紹介する本棚「小助川文庫」を1日に開設。7月29日には飯田晴義町長らも参加し、忠類ナウマン温泉ホテルアルコ236で送別会も開かれた。

 小助川さんは1943年札幌市生まれ。北海道学芸大学(現・道教育大)札幌校を卒業後、小・中学校教諭として十勝に赴任。83年に糠内中教諭となり、途別小校長などを歴任した。町ふるさと館の事業に深く関わり、アイヌ研究の他、町出身で昭和歌謡を代表する「リンゴの唄」を作曲した万城目正氏の生誕110年歌碑の建立に尽力するなど、町の文化発展に寄与した。

 3度のがん手術や心臓発作も経験した小助川さんの体調を家族が心配したことから、次男の住む札幌に9月4日に転居することを決めた。引っ越し先では十分なスペースを確保できないため、町内で役立ててもらおうと書籍や資料約400点を町に寄贈、町図書館で公開することになった。

 資料には小助川さんがアイヌ研究に打ち込む転機となった、アイヌ文化伝承者安東ウメ子さんの歌を集めたCDやDVD、小助川さんが幕別に関する部分を執筆した「日本地名辞典 北海道」(角川書店)、小助川さんの指導で子どもたちがまとめた郷土文化の冊子などもある。

 小助川さんは「もともと札幌に行くつもりではなかったが、体調や家族のことを考えるとやむを得ない。町内の皆さまには本当にお世話になった。これからも文化遺産を大切にし、次世代につないで」と感謝。その上で「依田勉三の油絵研究など、まだやり残したこともあり、札幌でも続けたい」と意欲を示す。

 町図書館は「多大な貢献に対し、図書館として恩返しはこれくらいしかできない。小助川さんの書斎をイメージし、本に貼られた付箋などもそのままなので、ぜひチェックして」としている。

 小助川さんと妻の富美子さん(73)の送別会は、札幌で新たな暮らしを始める夫妻を「励ます会」として「万城目正と昭和歌謡を継ぐ会」(坂下庄蔵会長)が主催した。飯田町長、田村修一教育長も含めて約30人が集まった。

 坂下会長は「万城目氏が幕別生まれであることに疎かった私たちのため、丹念に正確な事跡を調査し、尽力された。幕別を離れるのは残念だが、家族と絆を深める門出を感謝を込めて祝いたい」とし、飯田町長も「万城目氏作曲の町歌を今後も大事にしたい。わが町のアイヌ研究の第一人者。町民代表としてお礼申し上げる」と感謝した。

 金子隆司顧問(元教育長)の発声で乾杯し、出席者が小助川さんの功績をねぎらった。(眞尾敦)

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  • 寄贈した書籍・資料を集めた「小助川文庫」と小助川氏

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  • 小助川さん夫妻(中央)を囲んだ「励ます会」。前列右から3人目が飯田町長、同6人目が坂下会長

    小助川さん夫妻(中央)を囲んだ「励ます会」。前列右から3人目が飯田町長、同6人目が坂下会長

  • 郷土史研究家小助川さんが図書館に本寄贈 4

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  • 郷土史研究家小助川さんが図書館に本寄贈 5

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  • 郷土史研究家小助川さんが図書館に本寄贈 6

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